発達障害とIQ(知能指数)の深いつながり
発達障害は、心や脳の発達に何らかの特性・特徴を持つ状態を指します。
これに対し、IQ(知能指数)は個人の知的能力を数値化したもので、抽象的な思考や問題解決能力を測定します。
2E型ギフテッドは、この優れた知能を持ちながらも発達障害の特性を併せ持っている状態を指します。
高IQと発達障害の二面性・2E型ギフテッドとは
IQ数値は100が基準値です。IQ90〜IQ109が平均値で、IQ110以上だと「IQが高い」とされます。IQ120~IQ129が優秀、130以上がきわめて優秀とされ、IQ130以上の人の中で先天的に高い知能や学習能力、突出した才能を持つ人は「ギフテッド」と呼ばれます。2E型ギフテッドの人は、単に高IQを持つだけでなく、ADHD(注意欠陥多動症)、ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)、LD(学習障害)などの発達障害の特性も持ち合わせています。
言語理解や記憶力など特定の分野、例えば科学や音楽、スポーツなどで顕著な才能を発揮することがあります。一方で、社会性の欠如、書字の困難、手先の不器用さなど、生活のさまざまな面で困難を感じることがあります。学校での学習やテストでは、これらの特性が「勉強面に難がある」と誤解され、問題児とみなされがちですが、これは彼らの真の能力を適切に評価するための理解とサポートが不足しているためです 。
ギフテッドと発達障害の共通点
- 好きなこと、興味のあることへの集中力
- 完璧主義
- 細かいところまで気にする
- 時間管理が出来ない
- 論理的思考力が高く、考えが奥深い
ギフテッドと発達障害はいくつか共通する特徴が見られるため、ギフテッドなのにADHDやアスペルガー症候群などの発達障害と誤診されるケースが非常に多くなっています。
2E型ギフテッドだった噂の有名人
- トーマス・エジソン(発明家)
- アルバート・アインシュタイン(物理学者)
- レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術家・発明家)
- ビル・ゲイツ(実業家、プログラマー)
- スティーブ・ジョブズ(実業家・工業デザイナー)
- イチロー(野球選手)
2E型ギフテッドの人たちの共通点は、興味のある事柄については「好奇心が旺盛」で、時間を忘れていつまでも夢中になって調べたり課題に取り組んだりできる「高い集中力」を備えている点が挙げられます。
発達障害と知能タイプあるある
ADHD(注意欠如多動性障害)
じっとしていることができない、忘れ物が多い、ぼんやりする、衝動的な行動を取るなどの特性があり、これらは大人になっても続くことがあります。ADHDの人は、自分の不注意から起こるトラブルを抱えることが多く、学業や職場でのうっかりや失敗が目立ってくることが多いです。
また、自分が興味を示すものや楽しめることにしか集中力を発揮できないことも多く、IQテスト自体に集中出来ていないことがあります。この場合、実際の思考能力より低くIQが計測される可能性もあります。
ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)
知的発達の遅れのある典型的な自閉症に対して、知的発達の遅れのない自閉症を「高機能自閉症」、もしくは「アスペルガー症候群」と言います。
知的発達の遅れがないので、一見理解しているように見えることが多いですが、会話をしている中で妙な違和感を感じることがあります。
IQが高いアスペルガー症候群の人は「IQの高低幅」があり、IQが高い時とIQが低い時の差があり、思考能力が常に不安定です。一方で、理論的・合理的な思考が出来る時もあれば、些細なキッカケで起こる思い込みが邪魔することもあります。
ASD(自閉スペクトラム症)と比較すると、本人も周りも障害があることに気づきにくく、診断を受けずにそのまま大人になるケースも多数報告されています。本人にとって適切な支援を受けられないことで、高機能自閉症によって起こりうる日常生活での困りごとや生きづらさを感じ、二次障害が引き起こされることもあります。
LD(学習障害)
学習障害(LD)と知的障害の明確な違いは、学習障害(LD)では知的障害はないことです。
アメリカの心理学者であるWechsler,D. (ウェクスラー)が開発した、個人の知能構造を診断するウェスクラー式IQによって分かりやすく2つのグループに分類できます。
ウェクスラー式知能検査とは?
この検査では、IQに加え、4種類の指標の得点を出します。 4種類の指標には「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」があり、この指標でご自身の得意不得意を見ていきます。
全体的なIQが70~89程度の場合
知的障害とは診断されないものの、境界線から平均までの少し下で、学校の成績や日常的な会話の内容から、学習障害(LD)の疑いがあると直ぐに分かるタイプです。
全体的なIQは90以上の場合
IQは平均に分類されるために、周りの人から気づきにくく、診断が遅れがちです。
「話す」「聞く」「読む」「書く」「計算する」の能力のどれかに関する領域のIQが89以下に低下しており、それぞれに困難が生じています。
学習障害は、読み、書き、算数といった基本的な学習スキルの習得に困難が伴う障害です。この障害を持つ人々は、情報の処理や記憶にも問題を抱えることがありますが、これらは知能とは直接関係がありません。
天才肌なサヴァン症候群
先天性疾患のひとつであるダウン症候群(ダウン症)の発見で知られるイギリスの内科医、ジョン・ラングドン・ヘイドン・ダウン博士によって、1887年に名付けられた「サヴァン症候群」は、イディオ・サヴァン(天才的白痴)とも呼ばれていましたが、「イディオ」は差別的な意味があると考えられるようになったため、現在はサヴァン症候群と呼ばれるようになっています。
また、サヴァン症候群は医学的な診断名ではなく、日本において正式な定義もありません。
精神障害や知能障害を持ちながら、特定の分野に突出した能力を発揮する人や症状のことを言い、規則性や傾向はありません。
- 「○月×日の曜日をすぐ当てられる」
- 「膨大な書籍を1回読むだけですべて暗記できる」
- 「一度聞いただけの曲を最後まで間違えずに弾ける」
- 「航空写真を一瞬見ただけで描き起こせる」
並外れて難しい計算や音楽、美術等に関する記憶力・再現力が特徴です。一方、それ以外の学習能力が劣っている点もひとつの特徴です。
女性より男性に多く、ASD(自閉スペクトラム症)の人に多く見られます。
サヴァン症候群は、左脳の損傷が一因という説が有力視されています。まだまだ解明すべき点が多く、今現在も研究段階です。
まとめ
発達障害の人は、物事の核心や理論を重視した、時には無神経、デリカシーのない発言が多く、たわいもない雑談が得意ではないため、周りの人と会話が成り立たず、真意を理解してもらえないことがよく起こり、人間関係の構築が難しく孤立しやすくなります。
このように、周囲に理解されず、生きづらさを感じてしまいます。特性を理解し、周りのサポートを受け共存していくことがベストです。
環境によって周りとのIQの差がストレスに感じるのであれば、自分に合った世界に身を置くことも大切かも知れません。
よくある質問
- Q.発達障害と高いIQの関係は何ですか?
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発達障害を持つ人の中には、特定の分野で高い能力や知能指数(IQ)を持つ人がいます。特に2E型ギフテッドと呼ばれる人々は、高い知能と発達障害の特性を併せ持っています。
- Q.2E型ギフテッドの人々にはどのような特徴がありますか?
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2E型ギフテッドの人々は、科学や音楽、スポーツなど特定の分野で顕著な才能を発揮する一方で、社会性の欠如や書字の困難など生活面での困難も感じることがあります。
- Q.発達障害の主なタイプにはどのようなものがありますか?
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発達障害の主なタイプには、ADHD(注意欠如多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)、LD(学習障害)などがあります。それぞれ特有の行動や学習の困難さを伴います。