心療内科とは、精神的な不調やストレス、不眠など、心の病を専門とする医療機関です。
「眠れてない気がする」「どうしようもなく不安に襲われる事がある」「ふと泣きたくなる」など、日常生活に支障をきたすような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
また、本人が自覚していない場合もあり、「最近元気ないな」など、原因不明の体調不良や登校拒否など、保護者の方々は注意深く観察することが必要です。
今の高校生が抱える主な悩み
学校生活
不登校や学業、部活のプレッシャーなど
家庭内事情
両親との関係やヤングケアラー問題、虐待、貧困問題など
人間関係
交友関係のこじれやSNSを通じた人との関わり方など
自身の外見
他人からの評価や芸能人へのあこがれなど
また、将来への漠然とした不安、睡眠リズムの乱れや、食生活の偏りなどの生活習慣の乱れも、精神的な不調の原因となることがあります。
思春期もメンタルに影響している?
思春期は、子どもから大人になるにつれ、急激に心も身体も変化・成長する時期のことを言います。
高校生同士の人間関係やコミュニケーションも、小さい頃までとはまったく異なったものへと変化します。円滑な人間関係やコミュニケーション作りが苦手な人の中には、孤立してしまう人も出てきます。
また、思春期は二次性徴の出現、性ホルモンの急速な増加に伴って、攻撃性が現れやすい時期でもあります。一方で、これを上手くコントロールし、行動を統制する大脳の前頭前野は発達が遅く、その完成には20代前半までかかる、と言われています。
このため、攻撃性が制御しにくく、イジメを含めて様々な攻撃的な言動に出やすいのが、この思春期の時期なのです。
思春期真っ最中の高校生は、学業のプレッシャー、進路決定のストレス、対人関係の悩みなど、さまざまな心の問題に直面しています。
高校生がなりやすい精神疾患パターン6つ
不安障害
不安障害は、過剰な反応や心配、恐怖を特徴とする精神障害です。この症状は、身体的および心理的な健康に悪影響を及ぼす可能性があり、明確な対象がない、あるいは想像上の未来に対するものであることが多いです。不安障害には、全般性不安障害、特定の恐怖症、パニック障害などがあります。
思春期心身症
思春期の心身症の初発症状として「 朝起きられない」「食欲がない」「 立ちくらみがする」などが多く、次第に学校に遅刻するようになり、最終的に完全に休むほどになってしまうなど、社会生活に支障をきたすようになります。 このような症状が、2週以上続く時は心療内科を受診し、これらの症状や行動の原因や、起立性調節障害などの病気の疑いはないか、専門家の診察を受けましょう。
※起立性調節障害とは、自律神経の働きが悪くなり、起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。
そのため、「朝なかなか起きられない」「食欲不振」「全身倦怠感」「頭痛」「立っているだけで気分が悪くなる」「立ちくらみ」などの症状が起こります。 症状自体は午前中に強く出て、午後からは体調が回復することが多いので、周りに誤解されがちな病気です。
うつ病
大人によく出る症状の、「やる気が出ない」「気分が落ち込む」「食欲低下」「不眠」とは少し症状が違い、「食欲の増加」「よく眠る過眠」に変化することもあります。気分が落ち込むのではなく、イライラが続くということも、思春期のうつの特徴です。体重も、成長期途中のため増量する傾向が多いことがあります。
若いうちにうつ病を発症すると慢性化しやすく、大人になってからもうつ病を発症しやすくなります。
思春期やせ症
思春期の摂食障害は、思春期やせ症とも呼ばれています。
発生しやすい年齢は、14歳から18歳で、ピークは16歳くらいで、特に思春期女性の0.5%から1.0%に発症します。
男性より女性に、10倍から20 倍発症しやすい傾向があります。
思春期やせ症は、 体重が減り続けているにもかかわらず、食事を制限する一方、頭の中は食べもののことばかり考えてしまうのに、それを否定したりします。
ただ痩せれば良いという訳ではなく、体重計の数値が減るのを見たり、友だちや彼氏から「痩せたね」と言われたりすることで、達成感を感じたり、自己肯定感が上がります。
また、栄養不足になると、身体は苦痛を和らげようと、脳内麻薬のような物質が分泌され、それによって、一時的な気分の高揚で、嫌なことにも取り組めるようになります。
そのため、自分の行動は悪いことではないと勘違いしてしまい、「思春期やせ症」が発症していても、本人も周りも間違ったダイエットをしていることに気付けず、症状を悪化させていくのです。
思春期心性障害
思春期心性障害とは、精神的な問題が原因で身体的な症状を表しているものです。
「不満発散型」「引きこもり型」の2種類があります。
不満発散型
暴力やいじめ、夜遊び、非行などといった反社会的な方法で自身のイライラを発散します。
引きこもり型
家に閉じこもる、何もしたくないなど、内向的になり何をするにも意欲がなくなってしまいます。
不眠症
夏休みや冬休みなど、夜遅くまでテレビやSNSを見たりしていたら朝になってしまった、気付いたら昼過ぎまで寝てた、そんな生活リズムに慣れてしまい、睡眠時間の乱れが起こっている高校生が多いです。
睡眠は、身体の成長と心の健康にとって、非常に重要な要素です。適切な睡眠を取ることは、多くの症状の軽減に役立ちます。
統合失調症
思春期の人が起こしやすい病気のひとつに 統合失調症の前駆期といわれる病態があります。学校生活や人間関係、家庭環境などに適応できないストレスが溜まり、脳内ドーパミン分泌が活発になり、不眠障害、不安症状、神経過敏など、さまざまな身体症状や精神症状が出てきます。
音へ過敏性が増し、誰かに見られているなどの被注察感、いろいろ考えてしまい止まらない状況(自生思考の増大)や眠りたくても眠れない、無性にイライラhしてしまうなど、感情の起伏の激しさなどがあり、対人恐怖や孤独感なども出現します。また、病状が悪化し、統合失調症を発症すると、激しい自傷行為や衝動的自殺行為に走る場合もあり、注意が必要です。
早期発見早期治療が望ましく、薬物加療が必要かどうかは、本人の状態と医師の判断です。まずは、本人のストレスを緩和してあげるのが最優先事項となります。
私っておかしい?〇〇な気がするだけ、でもOK!とにかく一度心療内科に受診しましょう。
昔に比べ、心療内科の数は倍増しています。
若者や学生の患者も多く、さまざまな年齢層の人が受診しています。基本的には、完全予約制で患者同士が顔を合わせないよう、待合室を区分けしている心療内科もあります。
受診するときに注意するべきポイント
未成年の受診には、保護者の了承を得ているか確認したり、診察への同伴をお願いしている心療内科もあります。
処方や診断書なども、保護者の承諾なしでは発行しないところもあるので、事前に受診予定の心療内科に確認しましょう。
まだ受診する勇気が出ないって人は
こころの健康や病気について相談できる公的相談窓口もたくさんあり、少しでも気になる事があるとき、身内に話せないようなことや詳しい人に話を聞きたい時など、気軽に相談出来ます。
LINE相談を受け付けているところもあるので、自分のお住まいの地域の相談窓口を調べてみるのも良いと思います。
よくある質問
- Q.心療内科を受診するタイミングはいつですか?
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日常生活に支障をきたすような不眠や不安、急な涙などの症状がある場合、早めに受診することをおすすめします。保護者の方も、原因不明の体調不良や登校拒否に注意を払いましょう。
- Q.高校生が心療内科を受診する際の注意点は何ですか?
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未成年の受診には保護者の了承が必要な場合があります。診察や処方、診断書発行に保護者の同意が求められることが多いため、事前に確認しましょう。
- Q.高校生に多い精神疾患のパターンにはどのようなものがありますか?
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不安障害、思春期心身症、うつ病、思春期やせ症、思春期心性障害、不眠症などがあります。これらの症状が見られる場合は早期の受診が推奨されます。