睡眠障害を自力で改善するためには、生活習慣の見直しや環境の整備など、自分で実行できる事がたくさんあります。
ちょうどいい睡眠とは?
「ちょうどいい睡眠」とは、個人が翌日に活動するのに十分なエネルギーを回復させることができる、質と量のバランスが取れた睡眠を指します。睡眠の質と量は人によって異なるため、自分にとって最適な睡眠を見つけることが大切です。
大人の睡眠時間の平均は7時間~9時間
これは個人によって違いますが、6時間で大丈夫な人もいて自分にとって最適な時間を見つけるのが大切です。
睡眠の質も重要で、深い睡眠に十分に入ることができるかが、質のいい睡眠のカギです。深い睡眠は、体と脳の修復、記憶の固定、免疫系の強化に役立ちます。
夜間に何度も目覚めず、一度眠ったら朝までぶっ通しで眠ることができる状態も、良い睡眠の指標です。
朝、自然に目覚め、スッキリとした感覚で1日をスタートできるのも、良質な睡眠のしるしです。
睡眠障害のタイプや症状
今の日本では、睡眠障害を患っているひとは、5人に1人が何らかの睡眠の問題を抱えていると言われています。 人口の高齢化によって、この頻度は一層増えていくと言われています。
不眠症
最も一般的な睡眠障害のひとつで、寝つきが悪い、途中で目が覚めてしまう、早朝に目覚めてしまい再び眠れないなどの症状があります。これにより、日中の疲労感や集中力の低下が見られます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が一時的に停止することを繰り返す状態です。大きないびき、息苦しさ、日中の過度の眠気が特徴です。
遅延型睡眠相後退症候群
主に、夜型の人に見られる障害で、寝付きが遅くなり、朝の目覚めも遅くなる症状です。
ナルコレプシー
突然の睡眠発作や昼間の異常な眠気が特徴で、カタプレキシー(感情の高ぶりによって突然筋肉が弛緩する現象)などが伴うことがあります。
周期性四肢運動障害
睡眠中に脚や腕が周期的に動くことが特徴です。これにより睡眠が中断されるため、日中の疲労感につながります。
レム睡眠行動障害
REM睡眠中に通常は抑制されるはずの体の動きが抑えられず、夢の内容を体現するような動きをしてしまう状態です。
概日リズム睡眠障害
体内時計と外部環境との不一致が原因で、睡眠サイクルが乱れる症状が出ます。これには、上記の遅延型睡眠相後退症候群や進行型睡眠相前進症候群などが含まれます。
“長い時間ベッドに入っていても眠れない”と悩むことも不眠につながります。睡眠不足の解消には、自然に眠くなる時間に寝床に入るなどして、その差を埋めることが大切です。
自分で出来る睡眠改善方法
朝はしっかり朝日を浴びる
自然光を浴びることは、体内のセロトニンの生成を助けます。「幸せホルモン」という神経伝達物質と言われており、気分の向上、食欲、睡眠、すべてに影響します。
幸せホルモンのセロトニン
セロトニンは、睡眠に大切な体内時計の調節にも関与し、抑うつのリスクも減少します。セロトニンのレベルが上がると、精神面での健康もサポートします。
昼間しっかり自然光を浴びることで、セロトニンが増加します。消化器官にも影響していて、腸内環境も整えます。バナナやナッツなど、トリプトファンを含む食品は、セロトニンの生成を助けます。
睡眠ホルモンのメラトニン
セロトニンは、メラトニンの前の段階の物質です。夜になるとセロトニンからメラトニンへの変換が促されます。
メラトニンは「睡眠ホルモン」と言われ、昼間しっかり自然光を浴びることで増加したセロトニンのおかげで、夜間寝ている間にメラトニンの生成を助け、睡眠を誘導し、睡眠の質を上げてくれます。
昼間はアクティブに
日中の適度な身体活動や社会的活動は、夜の睡眠の質を向上させる助けになります。また、日中に短時間の昼寝を取ることは良いですが、長時間の昼寝は避けるべきです。
寝る前の食事や運動は控える
就寝の2〜3時間前には食事を終えることが理想的です。消化に時間がかかるため、就寝直前の食事は避けましょう。重たい食事や刺激物は避けるべきです。特に脂っこい食べ物や辛い食べ物は消化に時間がかかり、胃腸を刺激して睡眠を妨げる可能性があります。
穏やかなストレッチやヨガがオススメ
体温と心拍数を上昇させるため、就寝の2〜3時間前には終えることが望ましいです。激しい有酸素運動や筋トレは、エネルギーレベルを高めてしまうため、就寝前には避けた方が良いでしょう。運動による覚醒効果が落ち着くためには、ある程度の時間が必要です。
心身をリラックス出来る軽い運動は、リラクゼーションに役立ち、就寝前に適しています。
睡眠サイクルは変えない
毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝する習慣を身につけることで、体内時計を整え、睡眠の質を改善することができます。
お風呂にはしっかり浸かる
就寝の1〜2時間前にお風呂に入ることがオススメです。これにより、体温が自然に下がり、睡眠の準備が出来て、自然の睡眠を取ることができます。お湯の温度は約38〜40度が理想的です。これにより、身体が適度に温まり、筋肉の緊張をほぐし、ストレスや不安を軽減します。ラベンダーやカモミールなどのリラクゼーション効果のあるエッセンシャルオイルを風呂に数滴加えることで、さらにリラックスできます。
寝る前はデジタルデトックス
寝る前にリラクゼーションやリラックスする時間を持つことで、心身ともに落ち着き、より良い睡眠につながります。スマホのブルーライトも悪影響なので、控えめにしましょう。深呼吸、瞑想、穏やかな音楽を聞くなどが効果的です。
就寝スタイルは大事
寝室の環境を見直し、静かで暗く、適度な温度が保たれるようにすることが重要です。また、快適な寝具を使うことも睡眠の質を向上させます。
睡眠アプリの活用
睡眠アプリは睡眠の質を向上させるための便利なツールで、様々な機能を通じてユーザーの睡眠習慣をサポートします。
スマホの加速度計でユーザーの動きを記録し、睡眠サイクルを追跡します。これにより、軽い睡眠、深い睡眠、REM睡眠の期間を分析し、睡眠の質を診断することができます。
日々の睡眠パターンを記録し、特定の習慣が睡眠にどのように影響しているかを理解するのに役立ちます。これにより、何が睡眠の質を向上させ、または損なっているのかを知ることができます。
自身の睡眠データを、継続的に記録することによって、長期的なパターンを把握します。これにより、特定の生活習慣が睡眠にどのように影響しているかが明確になります。
アラーム機能で規則正しい睡眠を
ユーザーの睡眠サイクルに合わせて最適なタイミングでアラームが鳴るように設計されています。これにより、最も軽い睡眠の段階で目覚めることができ、より爽快な朝を迎えることができます。
収集したデータを定期的に確認し、睡眠の質に影響を与える要因を特定します。カフェインの摂取、運動のタイミング、夕食の内容などが、自分の睡眠にどのように影響しているかを知ることができます。
まとめ・ベッドに入る時間を見極めて
「ベッドに入ってもなかなか寝付けない」という方は、寝るタイミングを間違えている可能性があります。眠くなる自然なサイン(あくびが増える、目が重くなるなど)に注意を払い、その時間帯に合わせてベッドに入るようにしましょう。無理に早くベッドに入る必要はありません。
そのためにも、日光に晒される時間を意識的に管理し、朝日を浴びることで体内時計を調整すると良いです。朝の光は、体内時計をリセットし、夜の睡眠を促進します。
それでも、睡眠の質に問題が解決しない場合は、睡眠専門医に相談することをオススメします。