現代では、不眠の悩みは3人に1人、不眠症は10人に1人と、睡眠に関しての悩みは現代病のひとつになっています。また、比較的女性に多い悩みで、ホルモンの変動や心理的ストレスなどが関与しています。
不眠症ってどんな病気?
不眠症とは、睡眠障害のひとつで、「入眠困難」「夜間の頻繁な目覚め」「早朝覚醒」「睡眠の質に問題がある」、このようなさまざまな問題が継続的に起こる状態です。
これにより、日中の疲労感、集中力の低下、気分の悪化などが引き起こされ、日常生活を送るにあたって、とても悪影響です。
不眠症の原因
不眠症の原因は人それぞれですが、主に原因と言われている症状を紹介します。
精神的ストレスや心理的な問題
学校や仕事での人間関係や家庭内のストレス、不安や抑うつなどが主な原因となることが多いです。
不規則な生活
不規則な睡眠リズム、カフェインやアルコールの摂取、昼寝のしすぎ、などが不眠症を引き起こす場合があります。
身体の不調
痛みや慢性的な疾患、睡眠時無呼吸症候群など、他の健康問題も不眠症を引き起こす原因となります。
睡眠環境の問題
不快な騒音、まぶしすぎる光、適切ではない温度などの、不快な睡眠環境も睡眠を妨げる原因になります。
不眠症に女性が多い理由4つ
ホルモンの変動
女性は、月経周期、妊娠、更年期など、生涯を通じてホルモンの変動が男性よりも顕著です。特に、エストロゲンとプロゲステロンの変化は、睡眠パターンに影響を及ぼすことが知られています。
仕事や仕事環境の側面でのストレス
女性は男性に比べて、うつ病や不安症といった心理的な問題を抱えやすいとされ、この問題は、しばしば睡眠障害を引き起こします。また、家庭と職場の両方での役割の期待が高く、ストレスが睡眠に悪影響を及ぼすこともあります。
社会的役割と責任
家庭内での役割や、子育てと仕事の両立など、多くの責任を負うことが不眠の一因となることがあります。夜間の覚醒を伴うことが多く、継続的な睡眠の妨げになります。
睡眠環境
生物学的な違いに加えて、女性は通常、家庭内の騒音に敏感です。子どもや旦那、父母や祖父母の世話をするために、大事な睡眠が中断される可能性が高いです。
不眠症は治る?治療法は?
不眠症は治ると言われていますが、治療はそれぞれの状況や不眠症の原因に応じて異なります。
1. 行動療法とカウンセリング
認知行動療法(CBT-I)
不眠症の最も効果的な非薬物治療の一つです。睡眠に対する誤った考えや行動を特定し、それを修正することを目指します。
リラクゼーションテクニック
マインドフルネス瞑想、深呼吸、筋肉弛緩法など、ストレスを減らしリラックスする技術が含まれます。
睡眠衛生の改善
規則正しい睡眠スケジュールの維持、寝室環境の最適化、カフェインやアルコールの摂取制限など、日常生活の中で睡眠を改善するための習慣を整えます。
2. 薬物療法
処方睡眠薬
ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、メラトニン受容体作動薬などがあります。これらは短期的な使用が推奨されることが多いです。
抗うつ薬
うつ病が伴う不眠症の場合、抗うつ薬が睡眠を改善する助けになることがあります。
3. ライフスタイルの変更
適度な運動
定期的な運動は睡眠の質を向上させることができますが、寝る直前の激しい運動は避けるべきです。
食生活の調整
寝る数時間前に重い食事を避け、カフェインやアルコールの摂取を控えることが推奨されます。
4. サプリメントなどの代替医療
不眠症に対するサプリメントはたくさんあり、睡眠の質を改善する助けとなるかもしれません。
メラトニン
メラトニンは、体内の自然な睡眠リズムを調節するホルモンです。特に時差ぼけや夜勤後の睡眠調整に有効とされています。メラトニンのサプリメントは、寝る前に摂取することで、睡眠を促進する効果が期待されます。
バレリアン(カノコソウ)
バレリアンルートは、その鎮静効果で知られており、不安を和らげるとともに睡眠を改善するのに役立つとされています。ただし、バレリアンは即効性があるわけではなく、効果を実感するまでに数週間かかる場合があります。
マグネシウム
マグネシウムは神経系の機能をサポートし、リラクゼーションと睡眠の質の向上に寄与するミネラルです。不足している場合にサプリメントで補うことで、睡眠に良い効果をもたらすことがあるとされています。
ラベンダー
ラベンダーの香りにはリラックス効果があり、芳香療法として用いることで睡眠を促進する効果が報告されています。ラベンダーのオイルを枕に垂らすなどして使用する方法があります。
L-テアニン
L-テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸で、リラックス効果があるとされ、睡眠の質を改善するのに役立つとされています。特に心理的なストレスが原因で睡眠が浅い場合に効果的です。
これらの治療法は、医師や睡眠専門医との相談を通じて、適切なものを選択することが大切です。不眠症は、治療可能な状態であり、適切な対応を行うことで大幅に改善することが多いです。
不眠症になったら起こりうる病気
不眠症が慢性化すると、心臓病や高血圧のリスクを高めることがあり、睡眠不足が心血管に負担をかけ、炎症を引き起こします。
また、インスリン抵抗性の増加や血糖調節にも影響を及ぼし、2型糖尿病の発症リスクを高めます。
十分な睡眠は、免疫機能の維持にも大切なことです。睡眠不足は、身体の抵抗力を下げ、病気にかかるリスクを上げています。
睡眠不足になると、ホルモンバランスが崩れ、満腹感を感じにくいので食欲だけ上がる状態になり、過食と体重増加につながります。
不眠は精神病にも影響する
うつ病や不安障害などの、精神障害のリスクを高めることが知られています。睡眠不足は、気分や感情を制御する脳の部位に影響を与えるため、これらの状態が悪化することがあります。
長期的な睡眠不足は、記憶力や集中力も奪います。特に高齢者にとっては、認知症のリスクも増え、本人はもちろん周りの家族からしても、不眠症は死活問題です。
不眠症だけじゃない!まだある、睡眠障害のタイプ
過眠症(ナルコレプシー)
日中の過度の眠気が特徴で、普通に夜間に睡眠を取った後でも、抑えきれない強い眠気に襲われます。ナルコレプシー(突然の睡眠発作が起こる状態)もこのカテゴリに含まれます。
睡眠時無呼吸症候群
いびきはかきますか?いびきがひどいと、睡眠時無呼吸症候群になる可能性があります。
睡眠中に、呼吸が何度も一時的に停止する病気です。このため、質の良い睡眠が得られず、日中の眠気や疲労感、集中力の低下などを引き起こします。
レム睡眠行動障害
通常、レム睡眠中は筋肉が一時的に麻痺しますが、この障害を持つ人はその麻痺が起こらず、夢を見ている内容を身体で表現してしまうことがあります。バタバタ動いてしまったり、自分の声で起きてしまったり、これにより自身や寝ているパートナーを傷つけるリスクがあります。
レストレスレッグス症候群(RLS)
就寝時に脚に不快感やピリピリとした感じが生じ、これが原因で眠りにつきにくくなる状態です。しばしば脚を動かすことで一時的に症状が軽減します。
サーカディアンリズム睡眠障害
体内時計と外部環境とのズレが原因で生じる睡眠障害で、特に夜間勤務者や時差ぼけが引き起こす問題がこれに含まれます。
眠れないのが続いたら
睡眠障害はさまざまなタイプがあり、それぞれ症状が違います。
「最近眠れない」「寝つきが悪い」と感じたら、手遅れになる前に精神科や心療内科、睡眠専門家に相談しましょう。自分に合った治療方針、ライフスタイルの改善で、より良い未来を過ごしましょう。
よくある質問
- Q.不眠症とはどのような状態を指しますか?
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不眠症は「入眠困難」「夜間の頻繁な目覚め」「早朝覚醒」「睡眠の質に問題がある」などの睡眠障害が継続する状態です。これにより、日中の疲労感、集中力の低下、気分の悪化などが引き起こされます。
- Q.不眠症の原因は何ですか?
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不眠症の原因には、精神的ストレスや心理的な問題、不規則な生活、身体の不調、睡眠環境の問題などがあります。これらの要因が組み合わさって不眠症を引き起こすことが多いです。
- Q.不眠症を改善するための治療法は何ですか?
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不眠症を改善するための治療法には、認知行動療法(CBT-I)、リラクゼーションテクニック、睡眠衛生の改善、処方睡眠薬、抗うつ薬、適度な運動、食生活の調整、サプリメント(メラトニン、バレリアン、マグネシウム、ラベンダー、L-テアニン)などがあります。