場面緘黙(ばめんかんもく)は、注目される環境や叱責を受けた際に、言葉を発することが困難になる症状です。これは、主に子ども時代に始まることが多く、大人になってからの発症は比較的珍しいです。
場面緘黙症とは?
場面緘黙症は、慣れない社会的状況で通常通りに話すことができない、選択性の沈黙を伴う症状です。これは、心理的な障害のひとつで、主に子どもに見られますが、場合によっては成人になっても続くことがあります。家族など親しい人の前では通常通り話すことができるのに対し、学校や集団の中など、特定の場や人がいる状況では話すことが極端に困難になります。
何故「場面緘黙」になってしまうのか
場面緘黙の原因はまだ特定されていません。発言したり注目を集めた時に、声を出したいと思っても出せなくなることがあります。一対一での会話や、家族、友人とのコミュニケーションでは問題なく話せるのに、慣れない場面では声が出ないのです。
発達障害の人にも場面緘黙の傾向がある
発達障害や不安障害、強迫性障害の傾向がある人に見られることがあります。大人になってから発症するパターンは少ないですが、小さい頃に治療せずに成人した場合、職場などで困難を感じることがあります。場面緘黙を持つ人は完全に話せないわけではないので、「性格」によるものと誤解されやすいです。しかし、これは意図的に話さない選択をしているわけではありません。誤解されがちですが、実際には自身でコントロールできない状態であることを、周りの人たちに理解してもらうことが大切です。
大人になってからの場面緘黙のさまざまな症状
- 上司や同僚から質問されても返答ができないことがある
- 休憩中に他の人と軽く話をすることが難しい
- 不安に感じやすく、緊張しやすい特性がある
- 会議で意見を言いたいと思っても発言できない
- 指示内容が理解できないにも関わらず質問し直せない
- 新しい環境や状況では身体がうまく反応しないことがある
場面緘黙は発達障害者支援法の対象
コミュニケーション能力の低さと場面緘黙は異なるものです。
場面緘黙は、教育や行政の分野で発達障害者支援法の対象とされていて、発達障害が原因で「場面緘黙」を発症している場合は、治療や生活環境を整えることが将来的な改善につながるため、専門機関のサポートはとても効果的です。
場面緘黙はどうやって治療するか
場面緘黙症の治療にはいくつかのアプローチがありますが、主に心理療法、行動療法、場合によっては薬物療法が用いられます。
認知行動療法 (CBT)
不安や恐怖を感じる特定の状況に対して、一人ひとりがより積極的に対処できるようサポートする方法です。それぞれが不安を感じる状況に段階的に対峙させ、その状況での対処能力を徐々に向上させます。
露出療法
不安を引き起こす状況に徐々に慣れさせることで、その状況における不安のレベルを下げることを目指します。これにより、話すことへの恐怖が徐々に減少していきます。
薬物療法
重度の不安がある場合、医師はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)などの抗不安薬を処方することがあります。これは症状を緩和し、他の治療法がより効果的に機能するようサポートします。
家族療法
家族が場面緘黙症についての理解を深め、当事者をサポートする方法を学びます。これにより、家庭内でのコミュニケーションが改善され、不安が軽減されることがあります。
スピーチセラピー
発声や発話の技術を改善するための専門的なトレーニングを行うことも有効です。これは、コミュニケーション能力に自信を持つことで、公共の場で話すことへの恐怖を減少させるのに役立ちます。
治療は、それぞれの症状の重さや独自のニーズに合わせてカスタマイズされるべきです。専門家とよく相談して自身に合った治療計画を立てることが大切です。
まとめ
場面緘黙症と発達障害に関する記事を通じて、これらの症状が持つ複雑さとそれぞれに合った対処方法の重要性について考察しました。多くのケースで見られるように、適切な理解、支援、環境の整備がこれらの状態を管理し、改善するカギとなります。この情報が、緘黙症や発達障害を持つ人たちへのサポートを深めるサポートとなることを願っています。