傷病手当金の申請書の記入方法について不明な点はありませんか? 「傷病手当金をどのようにして申請するのか」という疑問を抱えている方も多いでしょう。
傷病手当金は、病気や怪我で仕事を休む必要がある場合に支払われる保険給付です。手続きをスムーズに行うためにも、書類の正しい記入方法や申請の手順を理解しておくことが大切です。
この記事では、傷病手当金の申請書の記入方法と提出手順について詳しく説明します。傷病手当金の申請に関する情報が必要な方は、この内容をぜひ参考にしてください。
傷病手当金の申請に必須の5つのポイント
傷病手当金の申請プロセスには、正確な書類提出が欠かせません。不備があると、給付が遅れることがあるので、細心の注意が必要です。ここでは、傷病手当金の書類提出に関する重要な5つのポイントを詳しくご説明します。
- 1.申請書の提出が必要
- 2.待期期間を経て書類を作成
- 3.書類記入には本人、事業主、医師の協力が必要
- 4.医師が書く部分の費用は自己負担
- 5.必要に応じて追加書類の提出が必要
1.申請書の提出が必要
傷病手当金を受け取るためには、自ら申請する必要があります。単に病気や怪我で休業しているだけでは、自動的に手当は支給されません。
また、会社が医師の診断書を要求することがあります。この診断書は、どれくらいの期間休業が必要かを判断するために使用されます。
傷病手当金は、加入している健康保険を通じて支給されるため、正式な書式で申請書を提出する必要があります。診断書とは別に、専用の申請書を正確に作成することが求められます。
2.待期期間を経て書類を作成
傷病手当金の申請書は、病気や怪我後の待期期間を経た後に記入します。この制度では、最初の3日間を「待期期間」とし、その後の休業日から手当が支給されます。
この待期期間は、短期の休業で給付を申請する不正を防ぐために設けられています。待期期間がないと、不正な給付申請が増える恐れがあるため、この制度が重要です。
3.書類記入には本人、事業主、医師の協力が必要
傷病手当金の書類には、本人、事業主、そして治療を担当する医師が記入する部分が含まれます。治療中の医療機関で、これらの書類の記入を依頼する必要があります。
例えば、協会けんぽ加入者の場合、必要な書類は全4枚です。
最初の2枚は本人が、次の1枚は事業主が、最後の1枚は医師が記入します。加入している健康保険組合によって書類のフォーマットが異なる場合があるため、具体的な書類は保険組合で確認が必要です。
4.医師が書く部分の費用は自己負担
傷病手当金の書類に関わる医師の意見書作成には費用がかかり、その費用は申請者が自己負担します。傷病手当金の書類用の医師意見書にかかる費用は、保険適用後の自己負担額で約300円となることが多く、これは通常の診断書に比べればかなり低額です。診断書の一般的な費用は1,000円から10,000円の範囲です。
5.必要に応じて追加書類の提出が必要
傷病手当金の申請では、基本の申請書類以外にも追加で添付する書類が必要な場合があります。提出すべき追加書類は以下のような状況によります
- 過去12ヶ月以内に職場が変わった場合
- 過去12ヶ月以内に再雇用で保険番号が変更された場合
- 障害厚生年金や老齢退職年金を受給している場合
- 労災保険の休業補償を受けている場合
- 第三者が原因の傷病である場合(交通事故や暴力事件など)
- 被保険者が亡くなり、相続人が請求する場合
これらの書類が不完全な場合、給付の手続きが遅れることがありますので、事前に必要な書類を確認し、適切に準備することが重要です。
傷病手当金の書類提出までの流れ
1.職場への病欠通知
傷病手当金を受け取るためには、最初に病気や怪我による欠勤を雇用主に報告する必要があります。この給付は、業務外の病気や怪我で労働不能になった際に適用されます。
病状に応じて、雇用主から医師の診断書の提出を求められることがあります。これは、労働契約法に基づき雇用主が従業員の健康状態を適切に把握し、必要な対応を行うためです。もし就業規則で診断書の提出が義務付けられている場合は、治療を受けている医師に診断書の作成を依頼してください。
2.書類準備と待期期間の管理
傷病手当金の受給資格を得るには、最初の3日間が待期期間として設定されています。この期間中に出勤すると、連続した休暇とみなされず、給付資格が得られません。
この待期期間を利用して、必要な傷病手当金の書類やその他の添付書類を準備することが推奨されます。申請書は雇用主から提供されることが一般的ですが、健康保険組合によってはオンラインでの申請書ダウンロードやオンライン申請が可能な場合もあります。
3.傷病手当金の書類を正しく記入し、準備を整える
待機期間を経て、傷病手当金関連の書類の記入及び必要書類の整理を開始しましょう。申請書には、患者本人、雇用者、及び医師が記入するセクションがあります。傷病手当金の意見書は、診察を受けている医療施設で作成を依頼する必要があります。
4.健康保険組合への書類提出
傷病手当金の書類が準備でき次第、所属する健康保険組合に提出します。提出方法は、会社が代行して提出するケースと、本人が直接郵送するケースがあります。提出方法は職場によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
傷病手当金の書類記入ガイド
本人が記入する情報
傷病手当金申請書の最初の2ページは申請者が記入します。以下に主要な記入項目を挙げます。
- 保険者番号または、不明な場合は個人番号(マイナンバー)
- 氏名、生年月日、住所、連絡先
- 傷病手当金受取りための銀行口座情報
- 申請対象期間(病気のため休業した日数)
- 職務内容
- 疾病または怪我の発生日
- 疾病または怪我の原因
さらに、労災保険の認定を受けているか、または他の病気や怪我で労災保険給付を受けているかどうかの確認欄も記入します。
事業主の記載事項
傷病手当金の文書において、事業主が記入する情報には、以下の内容が含まれます
- 従業員の勤務状況
- 従業員が欠勤した日に支払われた報酬の日付と金額
- 継続して支払われた報酬の詳細、例えば有給休暇中の給与、通勤手当、扶養手当、住宅手当など。
医師が提供する情報
傷病手当金の申請書に医師が記入する内容は以下の通りです
- 労務不能と認定された期間
- 傷病の名称
- 最初の診察日
- 病気や怪我の発生原因とその日付
- 主要な症状やその推移
- 実施された治療や検査結果、及び療養に関する指導内容
傷病手当金の目的は、従業員が病気や怪我により実際に労務に就けなかった期間の経済的補償を提供することにあります。従って、医師の意見書は、その期間の労務不能状態を医学的に証明するために不可欠です。
傷病手当金の基本解説
病気や怪我での休業時に受けられる給付金
傷病手当金は、病気や怪我が原因で仕事を休む必要がある際に支給される給付金です。この給付は、加入している健康保険や共済組合から提供されます。
仕事を休むと給与の支払いが停止され、それに伴う収入減に直面します。傷病手当金は、治療に専念しやすい環境を提供し、経済的負担を軽減することを目的としています。
2022年10月のデータによると、全国健康保険協会の報告では、傷病手当金の受給者数は311,099件に上ります。その中で、新型コロナウイルス感染症による受給者が151,263件で、全体のほぼ半分を占めています。精神障害などその他の病気も大きな割合を占めており、特に40歳未満の若年層での受給が目立っています。
傷病手当金の受給資格
傷病手当金を受けるための条件はいくつか存在します。主要な条件を以下に示します。
- 業務外の原因で病気や怪我をしていること
- 病気や怪我が原因で仕事を行うことが不可能であること
- 病気や怪我のために4日以上連続して仕事を休んでいること
- 休業期間中に給与の支払いがないこと
業務中や通勤中に発生した病気や怪我は労働災害として扱われ、傷病手当金ではなく労災保険の給付が適用される場合があります。また、休業中に一部給与や手当が支払われている場合、その額に応じて傷病手当金の支給額が調整されることがあります。
傷病手当金の支給期間と計算方法
傷病手当金の支給期間の詳細
傷病手当金は、病気やけがによる休業の4日目から支払いが開始され、最大で1年6カ月間の支給が可能です。2022年1月1日から、この支給期間は累計されるように変更されました。
もし治療を受けつつ一部出勤して給与が発生した場合、傷病手当金の支給は一時停止されます。同じ病気で再び休業する場合は、以前に受けた支給期間と合わせて、合計1年6カ月まで支給が行われます。
傷病手当金の計算方法
傷病手当金の日額は、以下の計算式に基づいて算出されます。
- 傷病手当金の日額計算式
【過去12ヶ月間の平均標準報酬月額】÷30日×(2/3)
国共済・地共済、私学共済などの制度では計算方法が異なる点に注意が必要です。
標準報酬月額には基本給、賞与、役付手当、住宅手当、残業手当などが含まれます。標準報酬月額の把握が難しい場合、保険料の逆算方法が有効です。
厚生年金保険料から逆算するには、日本年金機構の厚生年金保険料額表を参照し、給与明細上の厚生年金保険料を基に標準報酬月額を求めます。
また、健康保険料からも標準報酬月額を逆算可能です。お住まいの都道府県で適用される全国健康保険組合の保険料額表を用いて、対応する標準報酬月額を確認することができます。
傷病手当金に関するよくある質問
長期休業時の申請サイクルは?
傷病手当金は月単位で申請することが推奨されます。これにより給与のように毎月定期的に受け取ることができ、生活費などの支払いに役立てることができます。定期的な支給を受けることで、光熱費や家賃などの支出にも対応しやすくなります。
ただし、毎回の申請ごとに書類を作成する必要があり、医師の意見書も毎月必要となるので注意が必要です。
傷病手当金の申請から支給までの時間は?
傷病手当金の支給には、書類の受理から約2週間から1か月程度かかることが一般的です。たとえば、全国健康保険協会では地域によって異なる場合がありますが、申請書の受け取り後、約2週間で支給されることがあります。支給までの時間は、加入している健康保険組合によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。
傷病手当金の待機期間中に有給は取れるの?
傷病手当金の待機期間中に有給休暇を取ることは可能です。待機期間の3日間は無給となるため、有給を使用すると無収入の期間を短縮できます。待機期間には土日や祝日も含まれるため、有給休暇を上手に組み合わせると便利です。
傷病手当金を受給中に退職した場合の取り扱いは?
傷病手当金を受給中に退職しても、一定の条件を満たしていれば引き続き傷病手当金を受けることができます。具体的な条件は以下の通りです。
- 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
- 退職時に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること
ただし、退職日に出勤してしまうと、退職後の傷病手当金が受けられなくなる可能性があります。引き継ぎなどで出勤してしまうと、退職後の傷病手当が受給できなくなることがありますので、最終出勤日は慎重に調整することが重要です。
傷病手当金が調整されるケースは?
傷病手当金は収入との関係で、支給額が調整されることがあります。支給金額の調整が行われる条件は以下の通りです。
- 給与の支払いがあった場合
- 障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
- 老齢退職年金を受けている場合
- 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
- 出産手当金を同時に受けている場合
これらの条件に該当する場合、傷病手当金の減額や支給停止が行われることがあります。また、支給後にこれらの条件に該当していた場合は、返金が必要となることがあります。
傷病手当金の書類作成と提出プロセスの確認
傷病手当金を適切に受けるためには、所属する健康保険組合または共済組合への書類提出が不可欠です。この書類には患者本人、雇用者、および担当医師が記入するセクションが含まれています。特に、傷病手当金意見書は通常の診断書とは異なる専用の書式であるため、注意が必要です。
傷病手当金を安定して毎月受け取るためには、月次での申請が推奨されます。また、医師の意見書が必要となるため、アクセスが良好な医療機関の選択も重要です。
体調不良の中で申請書類を準備するのは困難を伴うことがあります。特に心の病を抱えて傷病手当金の支給を希望する方には、ハロスキンクリニックのような専門性を持ったクリニックが適している場合が多いです。
よくある質問
- Q.傷病手当金を申請する際に必要な書類は何ですか?
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傷病手当金を申請するためには、傷病手当金申請書、医師の意見書、場合によっては会社が提供する就労不能証明書などが必要です。具体的な書類は加入している健康保険組合によって異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。
- Q.傷病手当金の待機期間とは何ですか、またその期間中に給付はありますか?
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傷病手当金の待機期間は、病気や怪我の初日から数えて3日間です。この期間は無給とされ、4日目から傷病手当金の支給が開始されます。待機期間中に給付はありませんが、有給休暇を利用することで給与の減少を避けることが可能です。
- Q.傷病手当金を受け取るための条件は何ですか?
-
傷病手当金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
1) 業務外の原因で病気や怪我が発生していること、
2) 病気や怪我が原因で仕事に就けない状態が続いていること、
3) 病気や怪我により4日以上連続して仕事に就けなかったこと、
4) 休業中に給与の支払いがないこと。
これらの条件を満たしている場合、傷病手当金の支給を受けることができます。