仕事のストレスなどが原因で適応障害と診断され、1ヶ月の休職を検討しているものの、その間の給料がどうなるのか不安に感じている方もいるかもしれません。
適応障害が長引くと、うつ病などに移行するリスクもあるため、早期の休養は非常に重要です。
この記事では、適応障害で1ヶ月休職する場合の給料の扱いや、生活を支える公的制度「傷病手当金」について、受給条件や具体的な金額、申請手続きの流れを分かりやすく解説します。
適応障害で1ヶ月休職する場合、給料は原則として支払われない

適応障害のような業務外の病気やケガ(私傷病)が理由で会社を休む場合、原則として会社に給料を支払う義務はありません。
これは「ノーワーク・ノーペイの原則」という考え方に基づくもので、労働の提供がない期間については賃金を支払わないというルールです。
そのため、1ヶ月休職すると、その間の給料は無給となるケースが一般的です。
ただし、企業によっては就業規則で独自の傷病休暇制度を設け、一定期間の給与を補償している場合もあります。
まずはご自身の会社の就業規則を確認することが重要です。
給与が支払われない場合でも、健康保険の傷病手当という制度を利用して収入の一部を補うことが可能です。
休職中の生活を支える傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった際に、本人とその家族の生活を保障するために設けられた公的な医療保険制度です。
適応障害により休職し、会社から十分な給与が支払われない場合に、経済的な支援を受けられます。
1ヶ月の休職はもちろん、回復に時間がかかり3ヶ月といった長期の休職になった場合でも、条件を満たせば継続して受給できるため、安心して療養に専念するための重要なセーフティネットといえます。
給料のおよそ3分の2が支給される公的制度
傷病手当金では、休職前の給料(標準報酬月額)のおよそ3分の2にあたる金額が支給されます。
支給期間は、支給を開始した日から通算して最長1年6ヶ月です。
これは、途中で一時的に復職し、同じ病気やケガで再び休職した場合でも、休職期間を合算して1年6ヶ月に達するまで保障が続くことを意味します。
もし1ヶ月の休職で回復せず、休職期間の延長が必要になった場合でも、この期間内であれば継続して手当金を受け取ることができ、経済的な不安を和らげながら治療に専念できます。
傷病手当金を受け取るための4つの支給条件

傷病手当金を受給するためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
これらの条件は、適応障害だけでなく、他の私傷病で休養する場合にも共通して適用されるものです。
業務外の病気やケガで療養中であること
適応障害は業務外の病気として扱われます。
なお、業務上や通勤中の負傷は労災保険の対象となるため注意が必要です。
療養のために仕事に就けない状態であること
本人の自己判断ではなく、医師の診察に基づき「労務不能(仕事ができない状態)」であると証明される必要があります。
連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
仕事を休み始めた日から連続した3日間は「待機期間」と呼ばれます。
この期間を完了した後の4日目以降の欠勤に対して手当が支給されます。
休職中に会社から給与の支払いがないこと
給与が支払われても、その金額が傷病手当金よりも少ない場合は、差額分が支給対象となります。
これらの条件を満たすことで、将来的に退職や転職を選択した場合でも、一定の条件下で受給を継続できる場合があります。
最初の連続した3日間(待機期間)は支給対象外なので注意
傷病手当金の支給には「待機期間」というルールがあり、仕事を休み始めた最初の連続した3日間は支給対象になりません。
この3日間が成立して初めて、4日目以降の休みに対して手当金が支払われます。
待機期間には、土日祝日や有給休暇も含まれます。
例えば、金曜日に休み、土日を挟んで月曜日も休んだ場合、この3日間で待機期間が完成し、火曜日以降の休みが支給対象となります。
注意点として、途中に1日でも出勤すると待機期間はリセットされてしまうため、連続して3日間休むことが条件です。
【月収別】1ヶ月の休職でもらえる傷病手当金の計算方法とシミュレーション
休職中の生活を具体的にイメージするためには、実際にどれくらいの傷病手当金を受け取れるのかを把握しておくことが大切です。
ここでは、支給額を算出する基本的な計算式と、月収別のシミュレーションを紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、おおよその受給額を確認してみましょう。
傷病手当金の支給額を算出する基本的な計算式
傷病手当金の1日あたりの支給額(日額)は、以下の計算式で算出されます。
(支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3
「標準報酬月額」とは、社会保険料の計算のために、給与などの報酬を一定の範囲で区切ったものです。
ご自身の給与明細に記載されている健康保険料などから確認できます。
この計算式で算出した日額に、待機期間を除いた休職日数を掛けることで、総支給額が分かります。
月収25万円の人の受給額シミュレーション
月収25万円(標準報酬月額26万円)の人が、1ヶ月(30日間)休職した場合のシミュレーションです。
1日あたりの支給額:260,000円÷30日×2/3=約5,778円
支給対象日数:30日-3日(待機期間)=27日
1ヶ月の総支給額:約5,778円×27日=156,006円
この場合、約15.6万円が支給される計算になります。
月収30万円の人の受給額シミュレーション
月収30万円(標準報酬月額30万円)の人が、1ヶ月(30日間)休職した場合のシミュレーションです。
1日あたりの支給額:300,000円÷30日×2/3=約6,667円
支給対象日数:30日-3日(待機期間)=27日
1ヶ月の総支給額:約6,667円×27日=180,009円
この場合、約18万円が支給される計算となります。
要注意!休職中でも支払い義務が発生する社会保険料と住民税
傷病手当金によって収入の一部は確保できますが、休職中であっても支払いが免除されない費用がある点には注意が必要です。
特に、社会保険料と住民税は、会社に在籍している限り支払い義務が継続します。
これらの支出について事前に理解し、資金計画を立てておくことが大切です。
社会保険料(健康保険・厚生年金)は満額の支払いが必要
休職中で給与が支払われていない期間も、会社に在籍している限り、健康保険や厚生年金保険の被保険者資格は継続します。
そのため、社会保険料は毎月満額を支払わなければなりません。
通常、社会保険料は給与から天引きされますが、無給の場合は天引きができないため、支払い方法を会社と相談する必要があります。
一般的には、会社が一旦立て替えて復職後に給与から差し引くか、毎月会社が指定する口座へ自分で振り込むといった方法が取られます。
住民税の支払い方法は会社経由から個人での納付に切り替わる
住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得に対して課税される税金です。
そのため、休職して収入がなくなったとしても、前年に所得があれば支払い義務が発生します。
給与から天引き(特別徴収)されていた場合、休職中は天引きができなくなるため、個人で納付する「普通徴収」に切り替わります。
通常、市区町村から自宅へ納付書が送られてくるので、それを使って金融機関やコンビニエンスストアで支払うことになります。
事前に会社から支払い方法について案内があるか確認しておくと安心です。
傷病手当金を受け取るための申請手続き4ステップ

傷病手当金を受け取るためには、本人、医師、会社の三者がそれぞれ書類を作成し、健康保険組合へ提出する必要があります。
手続きがスムーズに進むよう、大まかな流れを把握しておきましょう。
ステップ1:会社に休職の意思と傷病手当金の利用希望を伝える
まず、医師から休職が必要との診断を受けたら、会社の上司や人事・労務担当部署に休職の意思を伝えます。
その際に、傷病手当金を利用したい旨も併せて相談しましょう。
会社側で必要な手続きや、申請用紙の入手方法について案内してもらえます。
多くの企業では申請用紙を常備していますが、加入している健康保険組合のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。
ステップ2:医師に診断書を依頼し、申請用紙に記入してもらう
傷病手当金の申請用紙には、本人が記入する欄のほかに、医師が記入する「療養担当者記入用」の欄があります。
通院している心療内科や精神科の医師に申請用紙を渡し、労務不能であった期間や病状についての証明を記入してもらいます。
この際、診断書とは別に文書作成料がかかる場合があります。
ステップ3:会社の担当部署に必要事項の記入を依頼する
医師の記入が済んだら、次に会社の担当部署(人事・労務など)へ申請用紙を提出し、「事業主記入用」の欄に記入を依頼します。
この欄には、休職期間中の勤務状況や、給与の支払いがあったかどうかなど、会社側でなければ証明できない情報を記入してもらいます。
ステップ4:記入済みの申請書を健康保険組合へ提出する
本人、医師、会社のすべての記入が完了したら、申請書を健康保険組合(または全国健康保険協会けんぽ)へ提出します。
提出方法は、会社の担当部署経由で提出する場合と、自分で直接郵送する場合がありますので、事前に会社の指示を確認しておきましょう。
提出後、健康保険組合で審査が行われ、支給が決定されます。
申請から初回の振込までにかかる期間の目安
傷病手当金の申請書を提出してから、審査を経て実際に銀行口座に振り込まれるまでには、おおよそ1ヶ月から2ヶ月程度の時間がかかります。
特に初回の申請は、審査に時間がかかる傾向にあります。
そのため、休職を開始してからすぐには収入が得られないことを念頭に置き、当面の生活費としてある程度の貯蓄を準備しておくことが重要です。
2回目以降の申請は、初回よりもスムーズに進むことが一般的です。
休職の相談や診断書発行は専門のクリニックへ
適応障害による休職を考え始めたら、まずは心療内科や精神科などの専門クリニックを受診することが第一歩です。
休職の要否や期間は自己判断するのではなく、専門医による客観的な診断に基づき判断する必要があります。
また、休職手続きや傷病手当金の申請には、医師が作成する診断書や申請書の記入が不可欠です。
症状に悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、早めに専門医に相談しましょう。
もし1ヶ月で復職できなかった場合の対処法

当初は1ヶ月の予定で休職を開始したものの、思うように回復せず、復職が難しいと感じるケースも少なくありません。
適応障害の回復ペースには個人差があるため、焦らずに自分の体調と向き合うことが大切です。
ここでは、1ヶ月で復職できなかった場合に考えられる対処法について解説します。
傷病手当金は最長1年6ヶ月まで受給期間の延長が可能
もし1ヶ月の休職で回復が見込めない場合は、医師と相談の上で休職期間を延長することが可能です。
傷病手当金は、支給開始から通算で最長1年6ヶ月まで受給できます。
そのため、休職を延長した場合でも、この期間内であれば経済的な支援を受け続けることができます。
回復状況に合わせて、1ヶ月ごとに申請を続けるのが一般的です。
焦って復職するのではなく、経済的な基盤を確保しながら、十分な療養期間を取ることが回復への近道です。
会社の就業規則で休職できる期間の上限を確認しよう
傷病手当金が最長1年6ヶ月受給できることと、会社が休職を認めてくれる期間は必ずしもイコールではありません。
多くの企業では、就業規則で私傷病による休職期間の上限を定めています。
例えば「勤続年数に応じて最長〇ヶ月まで」といった規定です。
この上限期間を超えても復職できない場合は、自然退職や解雇扱いとなる可能性があるため、事前に必ず自社の就業規則を確認しておくことが重要です。
人事・労務担当者に確認し、残りの休職可能期間を把握しておきましょう。
退職後も条件を満たせば傷病手当金を継続して受給できる
休職期間が満了したり、職場環境への復帰が困難で退職を選択した場合でも、特定の条件を満たしていれば傷病手当金の受給を継続できる「資格喪失後の継続給付」という制度があります。
退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること。
被保険者の資格を喪失した際に、傷病手当金を受給しているか、受給できる状態であること。
退職日に出勤していないこと。
これらの条件を満たせば、退職後も残りの期間(最長1年6ヶ月まで)について手当金を受け取ることができ、経済的な不安を抱えずに次のステップに進むための準備期間に充てられます。
適応障害 休職 1ヶ月 給料に関するよくある質問
ここでは、適応障害による休職と給料に関して、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。
会社の給与補償制度と傷病手当金は両方もらえますか?
両方を満額もらうことはできません。
会社の給与補償制度から支払われる額が、傷病手当金の額よりも少ない場合に限り、その差額分が傷病手当金として支給されます。
もし会社の補償額の方が多い場合は、傷病手当金は支給されません。
休職中にアルバイトをしたら傷病手当金は停止されますか?
原則として停止されます。
傷病手当金は、病気やケガにより「労務不能」であることへの生活保障です。
アルバイトなどで収入を得た場合、労務可能と判断され、支給条件から外れる可能性が非常に高いです。
無断で行うと不正受給と見なされることもあるため、絶対に避けましょう。
契約社員やパートタイマーでも傷病手当金はもらえますか?
勤務先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)に加入していれば、契約社員やパートタイマーといった雇用形態に関わらず、傷病手当金を受給する権利があります。
ただし、国民健康保険の加入者は対象外となるため、ご自身がどの健康保険に加入しているかを確認することが重要です。
適応障害の休職でお悩みなら渋谷駅前心療内科ハロクリニックへ
適応障害による休職を円滑に進めるためには、専門家である医師のサポートが不可欠です。
渋谷駅前心療内科ハロクリニックでは、休職を必要とする患者様が安心して療養に専念できるよう、迅速かつ丁寧なサポート体制を整えています。
休職手続きに必要な診断書を即日発行できます
心身の不調で一刻も早く休みたいという状況に対応するため、当院では最短で初診当日に休職に必要な診断書を発行することが可能です。
迅速な手続きにより、患者様がスムーズに休養に入れるようお手伝いします。
つらい症状を我慢せず、まずはご相談ください。
傷病手当金の申請で必要になる書類作成をサポートします
休職中の経済的な不安を軽減する傷病手当金は、安心して療養するための重要な制度です。
当院では、傷病手当金の申請に必要となる申請書の医師記入欄の作成に対応しています。
制度の利用に関して不明な点があれば、お気軽にお声がけください。
渋谷駅徒歩30秒でアクセスしやすく、当日予約も可能です
当院は渋谷駅から徒歩30秒というアクセスしやすい立地にあり、心身の不調を感じた時にすぐに受診できる環境です。
また、LINEから当日予約も可能ですので、症状が辛い日や急に時間ができた日でも、ご自身のタイミングで受診いただけます。
平日は19時まで診療しており、お仕事帰りにも立ち寄りやすくなっています。
まとめ
適応障害で1ヶ月休職する場合、会社の規定により給料は支払われないことが一般的ですが、健康保険の「傷病手当金」を申請することで、給料のおよそ3分の2にあたる額を受け取ることが可能です。
ただし、休職中も社会保険料や住民税の支払い義務は継続するため、事前の資金計画が重要となります。
もし1ヶ月で回復しない場合でも、傷病手当金は最長1年6ヶ月まで受給を延長できます。
休職や復職、退職といった選択肢を検討する際は、医師や会社の担当者とよく相談し、ご自身の体調を最優先に無理のない決断をすることが大切です。



