会社から突然「診断書を出してください」と言われ、どう対応すべきか戸惑っていませんか。
診断書の提出義務の有無や、もし拒否した場合にどうなるのか、また休職や退職を考えている場合の対応、発行にかかる費用は誰が負担するのかなど、多くの疑問が生じます。
この記事では、会社から診断書の提出を求められた際の法的な根拠や適切な対応方法、起こりうるリスクについて詳しく解説します。
- 診断書の提出を会社から求められる主な理由
- 診断書提出が「義務」になるケースとならないケース
- 診断書の提出を拒否できる可能性がある4つのパターン
- 拒否した場合に起こりうるリスク
- 診断書を準備して提出するまでの具体的な4ステップ
- 診断書の費用負担の考え方と会社への相談ポイント
- 病名を知られたくないときの対応方法
なぜ会社は診断書の提出を求めるのか?その3つの理由

会社が従業員に診断書の提出を求める背景には、主に3つの理由があります。
- 従業員の健康状態を把握し、安全に働けるよう配慮するため(安全配慮義務)
- 欠勤が正当な理由によるものかを客観的に確認するため
- 休職・復職・傷病手当金申請などの手続きに必要となるため
単に仮病を疑っているわけではなく、企業の法的な義務や労務管理上の必要性に基づいている場合がほとんどです。
従業員の健康を守り、職場環境を適切に維持するために、客観的な証明書類として診断書が求められます。
特に長期間の欠勤が続く場合には、その理由を正確に把握する必要があります。
従業員の健康状態を把握する安全配慮義務のため
会社には、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」が法律で定められています。
従業員が体調不良を訴えた際、その健康状態を正確に把握し、業務によって症状が悪化することを防ぐのは会社の責任です。
診断書は、医師による客観的な所見を得るための重要な書類となります。
診断書の内容に基づき、業務の軽減や一時的な配置転換、休職といった適切な措置を講じることで、従業員の健康回復をサポートし、安全な労働環境を確保する目的があります。
欠勤が正当な理由かを客観的に確認するため
従業員の欠勤が続く場合、会社はその理由が業務遂行が困難なほどの体調不良によるものか、客観的な事実として確認する必要があります。
これは仮病を疑うというより、労務管理を適切に行うための手続きです。
診断書は、医師が従業員の就労困難な状態を証明する公的な書類であり、欠勤が正当な理由に基づくものであることを会社が判断するための根拠となります。
これにより、欠勤期間中の給与の取り扱いや、その後の人事評価などを公正に行うことが可能になります。
休職や復職の手続きに必要となるため
病気や怪我による長期の休職に入る際、また休職後に職場復帰する際には、多くの場合で診断書の提出が不可欠です。
休職手続きにおいては、どのくらいの期間、療養が必要なのかを会社が把握し、正式な休職命令を出すための根拠となります。
また、健康保険の傷病手当金を申請する際にも、医師が作成した証明書が必要になります。
復職時には、業務を再開できるまで回復していることを証明する診断書を基に、会社は復職の可否や復帰後の働き方を判断します。
診断書の提出は義務?まずは会社の就業規則を確認しよう
| 状況 | 診断書提出の扱いの目安 |
|---|---|
| 就業規則に「一定日数以上の欠勤や休職時に診断書提出」と明記されている | 原則として提出義務あり |
| 就業規則や雇用契約書に診断書に関する定めがない | 法律上の一律の義務はなく、提出は任意のお願いに近い |
| 有給休暇を使って休んでいる | 原則として診断書提出を強制されない |
| 有給を使い切った後も欠勤が続く | 会社から診断書提出を求められる可能性が高い |
会社から診断書の提出を求められた際、それが法的な義務なのか気になるかもしれません。
結論から言うと、労働基準法などの法律に、診断書提出を義務付ける一律の規定はありません。
しかし、多くの会社の就業規則には、一定期間以上欠勤する場合や休職する際に診断書の提出を義務付ける条項が設けられています。
就業規則は会社と従業員の間の労働契約の内容を定めたルールであり、法的な拘束力を持ちます。
したがって、就業規則に定めがある場合、従業員は原則としてその定めに従う義務があります。
まずは自社の就業規則を確認することが最初のステップです。
会社への診断書提出を拒否できる可能性のある4つのケース

就業規則に定めがある場合、診断書の提出は原則として義務となりますが、状況によっては提出を拒否できる可能性もあります。
ただし、正当な理由なく拒否するとトラブルに発展する恐れがあるため、慎重な判断が求められます。
パートやバイトの場合も、就業規則や雇用契約書の内容によります。
ここでは、診断書の提出を拒否できる可能性のある4つのケースについて解説します。
- 就業規則や雇用契約書に、診断書提出の定めがそもそもない
- 年次有給休暇を使って休んでおり、有給残日数にも余裕がある
- 1〜2日程度の短期的な体調不良で、就業規則にも日数の定めがない
- 退職がすでに決まっており、有給消化中で業務引き継ぎも済んでいる
就業規則に診断書提出の定めがない場合
診断書提出の根拠となるのは、法律ではなく会社の就業規則です。
もし、自社の就業規則や雇用契約書に、病気で休む際の診断書提出に関する条項が一切存在しないのであれば、提出を強制する法的な根拠はありません。
この場合、診断書の提出はあくまで「任意のお願い」という位置づけになります。
そのため、提出を拒否すること自体は可能です。
ただし、会社側も安全配慮義務の観点から状況を把握したいため、提出できない理由を丁寧に説明し、円満な解決を目指す姿勢が重要です。
有給休暇を取得して休む場合
年次有給休暇は、法律で認められた労働者の権利です。
有給休暇を取得する際に、その理由を会社に申告する義務はありません。
したがって、体調不良を理由に有給休暇を取得する場合でも、診断書の提出を強制されることはありません。
会社側が診断書を求めてきたとしても、「有給休暇で対応します」と伝えれば、それ以上の要求はできないのが原則です。
ただし、有給休暇をすべて消化した後に欠勤が続く場合は、診断書の提出が必要になる可能性があります。
1〜2日程度の短期的な体調不良の場合
風邪や腹痛など、一般的に1〜2日で回復が見込める短期的な体調不良に対してまで、診断書の提出を義務付けるのは、社会通念上、過剰な要求と判断される可能性があります。
診断書の取得には費用も時間もかかるため、従業員にとって大きな負担です。
就業規則に「〇日以上の欠勤で提出」といった具体的な日数の定めがない限り、短期の休みで提出を強く求められた場合は、その必要性について会社と話し合う余地があるかもしれません。
ただし、短期の欠勤を繰り返している場合は、状況が異なります。
退職が決まっており、引き継ぎ等に影響がない場合
すでに退職が決まっており、最終出社日までの残りの日数を有給休暇の消化にあてるようなケースでは、診断書の提出を拒否できる可能性があります。
特に、業務の引き継ぎも完了しており、欠勤しても会社に実質的な損害が発生しない状況であれば、会社側が強く提出を求める根拠は弱いと言えます。
ただし、会社としては退職日までの従業員の健康状態を管理する責任があるため、状況によっては提出を求められることも考えられます。
最終日まで円満な関係を保つためにも、誠実な対応を心がけることが望ましいです。
診断書の提出を拒否した場合に起こりうる3つのリスク

就業規則に定めがあるにもかかわらず、正当な理由なく診断書の提出を拒否した場合、従業員側にいくつかの不利益が生じる可能性があります。
安易な拒否はトラブルの原因となりかねません。
ここでは、提出を拒否した場合に考えられる3つの主なリスクについて解説します。
| リスクの種類 | 具体的に起こりうること |
|---|---|
| 勤怠評価の悪化 | 欠勤が「正当な理由のない休み」と扱われ、無断欠勤と評価される可能性がある |
| 懲戒処分の対象 | 就業規則違反や業務命令違反とみなされ、譴責・減給などの懲戒処分を受けるおそれがある |
| 信頼関係の悪化 | 上司や人事からの信頼を失い、重要な仕事を任されなくなるなど、働きづらさにつながる |
無断欠勤として扱われ評価が下がる恐れ
就業規則で定められている診断書を提出しない場合、その欠勤は「正当な理由が証明されない休み」と見なされる恐れがあります。
その結果、会社によっては無断欠勤(勤怠不良)として扱われる可能性があります。
無断欠勤は、賞与(ボーナス)や昇進・昇給といった人事評価において、マイナスの査定につながる重大な事由です。
体調不良が事実であったとしても、それを客観的に証明する手段を自ら放棄したと解釈され、不本意な評価を受けるリスクがあります。
就業規則違反として懲戒処分の対象になる可能性
就業規則は、その会社で働く上でのルールブックです。
就業規則に「欠勤の際は、会社の指示に従い診断書を提出しなければならない」といった規定がある場合、その指示に従わないことは就業規則違反となります。
違反の程度にもよりますが、最も軽い懲戒処分である「譴責(けんせき)」や、さらに重い「減給」などの対象となる可能性もゼロではありません。
特に、提出を頑なに拒否し続けた場合、業務命令違反と見なされ、より重い処分が検討されることもあり得ます。
会社との信頼関係が悪化し働きにくくなる
法的なリスク以上に、職場の人間関係に与える影響は大きいかもしれません。
正当な理由なく診断書の提出を拒否する態度は、上司や人事担当者から「ルールを守らない従業員」「何か隠しているのではないか」といった不信感を持たれる原因になります。
一度損なわれた信頼関係を回復するのは容易ではありません。
その結果、職場でのコミュニケーションがうまくいかなくなったり、重要な仕事を任されなくなったりするなど、働きづらさを感じる状況に陥る可能性があります。
診断書を会社に提出するまでの具体的な手順

会社から診断書の提出を求められ、提出することにした場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。
スムーズに手続きを進めるために、あらかじめ全体の流れを把握しておくことが大切です。
ここでは、病院での依頼から会社への提出まで、4つのステップに分けて具体的な手順を解説します。
- 医療機関を受診し、診断書の作成を医師に依頼する
- 診断書の発行費用や支払い方法を確認する
- 会社に診断書の指定様式や記載してほしい項目がないか確認する
- 完成した診断書を、決められた窓口(上司・人事・総務など)に提出する
ステップ1:かかりつけ医や病院に作成を依頼する
まず、体調不良の原因を診断してもらうために医療機関を受診する必要があります。
かかりつけ医がいる場合はそちらに相談するのがスムーズです。
診察を受ける際に、「会社に提出するための診断書が必要である」ということを明確に医師に伝えましょう。
診断書は医師の診察に基づいて作成されるため、自覚症状や休みたい期間の希望などを具体的に説明することが重要です。
医師が診察の結果、療養が必要だと判断した場合に診断書が発行されます。
ステップ2:診断書の発行にかかる費用を確認する
| 確認事項 | 内容の例 |
|---|---|
| 発行費用 | 2,000〜5,000円程度が目安だが、医療機関により異なる |
| 支払い方法 | 現金のみ/クレジットカード可/電子マネー対応など |
| 会社指定様式 | 休職・傷病手当金申請用のフォーマットの有無 |
| 提出先・提出方法 | 直属の上司・人事・総務、手渡し/郵送/データ提出など |
診断書の発行は、健康保険が適用されない「自費診療」扱いとなります。
そのため、発行には文書作成料がかかります。
費用は医療機関によって異なり、一般的には2,000円から5,000円程度が相場ですが、中には10,000円程度かかる場合もあります。
後々のトラブルを避けるためにも、診断書の作成を依頼する際に、費用がいくらかかるのかを必ず窓口で確認しておきましょう。
支払い方法(現金のみか、クレジットカードが使えるかなど)も合わせて確認しておくと安心です。
ステップ3:会社指定の様式がないか事前に確認する
診断書を作成してもらう前に、会社側に指定のフォーマット(様式)がないかを確認することが重要です。
特に、休職手続きや傷病手当金の申請に使う診断書の場合、会社や健康保険組合が独自の様式を用意していることがあります。
また、様式がなくても、「就業上の配慮に関する具体的な内容」など、会社側が記載を希望する項目があるかもしれません。
二度手間や再発行を防ぐためにも、事前に直属の上司や人事部に確認を取りましょう。
ステップ4:完成した診断書を直属の上司や人事部に提出する
診断書が完成したら、速やかに会社に提出します。
提出先は、一般的に直属の上司や人事部、総務部などになりますが、会社のルールによって異なりますので、こちらも事前に確認しておきましょう。
提出する際は、手渡しが基本ですが、郵送を指示される場合もあります。
個人情報を含む重要な書類ですので、郵送の場合は簡易書留などを利用し、手渡しの場合は誰に渡したかを記録しておくと、より確実です。
診断書の費用は自己負担?会社負担?原則と交渉のポイント
| 診断書が必要になった理由 | 費用負担の一般的な考え方 |
|---|---|
| 本人が傷病手当金を申請したいなど、本人の手続きのため | 本人負担となるのが一般的 |
| 本人の判断で、会社への説明材料として診断書を用意する場合 | 本人負担となるケースが多い |
| 会社の指示で、会社指定の医師の診断を受ける場合 | 会社側が負担すべきケースがある |
| 会社の判断で、追加の診断書を求められた場合 | 会社負担を相談できる余地がある |
診断書の発行には数千円の費用がかかるため、この費用を誰が負担するのかは重要な問題です。
原則として、従業員が自身の都合で診断書を取得する場合、その費用は自己負担となるのが一般的です。
これは、健康保険の傷病手当金の申請など、従業員自身の利益のために必要となる書類という側面が強いためです。
しかし、会社側の都合で提出を求める場合は、会社が費用を負担すべきケースもあります。
例えば、会社が指定した医師の診察を受ける場合や、復職可否の判断のために会社が追加の診断書を要求した場合などが該当します。
もし費用の負担で迷った場合は、就業規則に関連する規定がないか確認した上で、会社に費用の請求が可能か相談してみることをおすすめします。
診断書の病名を知られたくない…プライバシーに関する注意点
特に精神的な不調の場合、「詳しい病名を会社に知られたくない」と考えるのは自然なことです。
診断書を提出することによるプライバシーの懸念は、多くの人が抱く不安の一つです。
しかし、病名を伏せつつも、必要な情報を会社に伝える方法は存在します。
ここでは、プライバシーに配慮しながら診断書を提出するための注意点と具体的な方法について解説します。
- 診察時に医師へ「会社提出用で、病名の表現を配慮してほしい」と伝える
- 病名ではなく「抑うつ状態」「自律神経の不調」などの表現にしてもらうよう相談する
- 「〇ヶ月程度の休養が必要」「残業の制限が望ましい」など、業務上の配慮事項を中心に記載してもらう
- 会社には「病名よりも、業務に支障が出ている状態であることを伝える診断書です」と説明する
会社が必要とするのは「業務遂行が可能か」という情報
まず理解しておくべきなのは、会社が診断書を求める本来の目的です。
多くの場合、会社は従業員の病名を詮索したいわけではありません。
会社が最も知りたいのは、「現在の健康状態で安全に業務を遂行できるか」「もし難しい場合、どのような配慮(業務量の調整、残業の制限など)が必要か」という労務管理上の情報です。
この目的を理解すれば、診断書に記載すべき内容のポイントが見えてきます。
病名そのものよりも、業務への影響度合いを伝えることが重要です。
医師に相談して診断書の記載内容を調整してもらう方法
プライバシーへの配慮が必要な場合、診断書を作成する医師にその旨を相談することが有効です。
「会社に提出するものなので、具体的な病名の記載は避けたい」と伝えれば、多くの医師は理解し、記載内容を調整してくれます。
例えば、具体的な病名の代わりに「抑うつ状態」「自律神経系の不調」といった表現にしたり、「〇ヶ月間の休養と治療を要する」「就業にあたっては、時間外労働の制限が望ましい」など、業務遂行能力や必要な配慮に関する記述を中心に作成してもらったりすることが可能です。
遠慮せずに医師に希望を伝えてみましょう。
診断書がすぐに必要な方は渋谷駅前心療内科ハロクリニックへご相談を
会社から診断書の提出を急に求められ、すぐに対応が必要な場合、どこに相談すればよいか迷うかもしれません。
渋谷駅前心療内科ハロクリニックでは、そうした状況にある方々をサポートするため、最短で診療当日に診断書を即日発行することが可能です。
つらい症状を抱えながら、手続きのために時間を待つ必要はありません。
また、当クリニックは渋谷駅から徒歩30秒とアクセスが非常に良く、平日は19時まで診療しているため、仕事の合間や帰りにも立ち寄りやすい環境です。
当日予約も受け付けており、傷病手当金申請書の発行にも対応していますので、休職に関する手続きでお困りの方も安心してご相談ください。
会社に診断書を出せと言われたときのよくある質問
ここでは、会社からの診断書提出依頼に関して、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
具体的な疑問点を解消するための参考にしてください。
診断書の発行費用は、健康保険の適用対象になりますか?
いいえ、診断書の発行費用は健康保険の適用対象外です。
診断書は治療行為ではなく、あくまで証明書の発行という扱いになるため、費用は全額自己負担となります。
診察や薬の処方にかかる費用とは別に、文書作成料として請求される点に注意が必要です。
精神的な不調で休みたいのですが、病名を詳しく書かずに診断書をもらえますか?
はい、可能です。
診断書を作成する医師に「プライバシーに配慮してほしい」という旨を伝えれば、具体的な病名の記載を避け、「抑うつ状態のため休養が必要」といった形で、業務への影響や必要な配慮事項を中心に記載してもらうことができます。
たった1日休んだだけで診断書を要求された場合、どう対応すればいいですか?
まず就業規則を確認し、診断書提出の義務があるか確認してください。
規則にない場合、1日の休みでの要求は過剰な可能性があります。
一方的な要求が続く場合はパワハラに該当する恐れもあるため、人事部や労働組合など、社内の相談窓口に相談することも検討しましょう。
まとめ
会社から診断書の提出を求められた場合、まずは就業規則を確認し、提出が義務付けられているかを確認することが重要です。
会社が診断書を求める背景には、従業員の健康を守る「安全配慮義務」や、休職・復職手続きといった正当な理由があります。
原則として就業規則に定めがあれば提出に応じるべきですが、有給休暇での休みなど、拒否できるケースも存在します。
正当な理由なく提出を拒否すると、懲戒処分や評価の低下といったリスクを伴います。
診断書の発行費用は原則自己負担ですが、プライバシーに関しては、医師に相談することで記載内容を調整してもらうことが可能です。
もし対応に迷った場合は、一人で抱え込まず、専門の医療機関や社内の相談窓口に相談してください。



