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発達障害と母子分離不安症の関係|小学生にできる原因別の対処法

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小学生になっても続く母子分離不安とは|発達障害との関係を正しく理解する

幼児期の子どもが親と離れるときに不安を示すことは、発達の過程でよくみられる自然な反応です。

しかし、小学生になっても母親や養育者と離れることへの強い不安が続き、登校や外出、就寝など日常生活に支障が出ている場合には、単なる性格や甘えとして片づけず、分離不安症の可能性も視野に入れて考えることが大切です。

分離不安症とは、愛着のある相手と離れることに対して、年齢相応を超えた強い恐怖や不安が持続する状態をいいます。

子どもの場合は、親と離れる場面で激しく泣く、腹痛や頭痛を訴える、学校を強く嫌がる、家の中でも親から離れたがらないなどの形であらわれることがあります。

ここでよくある誤解が、「母子分離不安が強いなら発達障害なのではないか」というものです。

実際には、分離不安症と発達障害は同じものではありません。

分離不安症は不安症の一つであり、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)は神経発達症に含まれます。

ただし、発達特性があることで環境の変化に弱かったり、感情の調整が難しかったりして、結果として分離不安が強く出やすいことはあります。

分離不安症の主な症状

分離不安症では、次のような症状がみられます。

  • 親と離れることを考えただけで強く不安になる
  • 登校・登園の前に腹痛、頭痛、吐き気などを訴える
  • 親に何か悪いことが起こるのではないかと過度に心配する
  • 一人で家にいることや別室で過ごすことを強く嫌がる
  • 親と離れて眠ることを拒む、分離に関する悪夢をみる
  • 登校しぶりや学校拒否につながる

DSM-5では、このような不安が子どもで4週間以上続き、学校生活や対人関係などに明らかな支障をきたしている場合に、分離不安症として評価されます。

※参考:Separation Anxiety Disorder – Dsm-5 Criteria | Medical Calculator/Table 15, DSM-IV to DSM-5 Separation Anxiety Disorder Comparison – DSM-5 Changes – NCBI Bookshelf

幼児期の自然な不安との違い

分離不安は、もともと生後6〜12か月頃からみられやすく、幼児期には珍しくありません。

多くは成長とともに軽くなり、2〜3歳頃に目立ちにくくなっていきます。

そのため、小学生以降も不安が強く続く場合は、「年齢相応かどうか」という視点でみることが重要です。

以下の表は、発達に伴う一般的な分離不安と、受診を考えたい状態の目安を整理したものです。

年齢・時期 よくある反応 注意したいサイン
乳児期〜幼児前期 親と離れると泣く、後追いをする 年齢相応の範囲であることが多い
幼児後期 新しい場面で不安を示すことがある 園生活にほとんど参加できない状態が続く
小学生 行き渋りや緊張が一時的に出ることはある 登校困難、強い身体症状、親から離れられない状態が続く
思春期以降 環境変化で不安が高まることはある 学校生活・外出・睡眠に継続的な支障がある

発達障害が母子分離不安を強めやすい理由

発達障害そのものが分離不安症を直接引き起こすわけではありませんが、ASDやADHDの特性によって、不安が強まりやすくなることがあります。

特に「見通しの立たなさ」「感覚の敏感さ」「感情のコントロールの難しさ」は、親から離れる場面で大きな負担になりやすい要素です。

ASDでは「見通しの立たなさ」が強い不安につながる

ASDのある子どもは、予定変更や初めての環境、先の流れが読めない状況に強い不安を感じることがあります。

学校では、その日の授業の流れ、周囲の子どもの動き、先生の指示、人間関係など、家庭よりも予測しにくい要素が多くなります。

そのため、家庭という安心できる場所から離れること自体が大きなストレスになりやすいのです。

また、自分の不安をうまく言葉にできず、「行きたくない」「お母さんと一緒がいい」といった形で表現されることも少なくありません。

背景にはわがままではなく、「何が起こるか分からないことが怖い」という感覚が隠れている場合があります。

近年は、不確実さへの弱さが自閉スペクトラム症のある子どもの不安に関与することも指摘されています。

ADHDでは感情調整の難しさが離れにくさにつながる

ADHDのある子どもでは、不安やいらだち、寂しさなどの感情が急に大きくなりやすく、落ち着きを取り戻すまでに時間がかかることがあります。

学校では注意を向け続けることや、集団行動に合わせること、刺激の多い環境に耐えることにエネルギーを使いやすく、その疲れが「親に強くくっつく」「離れられない」という形であらわれることがあります。

このような場合、親への接近は単なる依存ではなく、安心を回復するための行動として機能していることがあります。

したがって、「早く一人でできるようにさせなければ」と急いで切り離すよりも、子どもが安心を取り戻せる方法を一緒に整えていく視点が重要です。

小学生の母子分離不安を和らげる家庭での対処法

分離不安が強い子どもに対して、無理に引き離したり、叱って登校させたりすると、かえって不安が強まることがあります。

家庭ではまず、子どもの不安を理解し、安心できる土台をつくったうえで、少しずつ「離れても大丈夫だった」という経験を積み重ねていくことが大切です。

不安な気持ちを否定せず、安心できる関係を保つ

「もう小学生なのだから大丈夫」「みんなできているよ」といった言葉は、励ましのつもりでも、子どもには「分かってもらえない」と感じられることがあります。

不安があるときには、まず「不安なんだね」「離れるのが心配なんだね」と気持ちを言葉にして受け止めることが大切です。

そのうえで、「終わったら迎えに行くよ」「困ったら先生に伝えていいよ」など、具体的な安心材料を示すと、子どもは先をイメージしやすくなります。

親が落ち着いて接すること自体が、子どもにとって大きな安心につながります。

見通しを伝えて「何が起こるか」を分かりやすくする

発達特性のある子どもでは、予定があいまいなままだと不安が高まりやすいため、1日の流れを具体的に伝える工夫が役立ちます。

たとえば、「学校に行ったら朝の会、1時間目、休み時間、給食のあとに帰る」「帰宅したら一緒におやつを食べる」といったように、順番を見える形にする方法です。

言葉だけでは分かりにくい場合には、メモや絵、簡単なスケジュール表を使うのも有効です。

先の流れが分かることで、「ずっと不安が続くわけではない」と感じやすくなります。

段階的に離れる練習をする

分離不安への対応では、いきなり長時間離れることを目標にしないほうがうまくいきやすい場合があります。

短い時間の分離から始めて、「離れても大丈夫だった」という体験を少しずつ増やす方法が基本です。

これは不安症に対する支援で用いられる考え方とも一致します。

たとえば、次のようなスモールステップが考えられます。

  • 家の中で別の部屋に5分いる
  • 買い物の間だけ祖父母や家族と過ごす
  • 保健室や別室から短時間登校を始める
  • 校門までの付き添いから始め、徐々に距離を縮める

このとき大切なのは、子どもが耐えられる範囲で進めることです。

強い不安のまま無理に進めると、失敗体験として残ってしまうことがあります。

登校しぶりがあるときの学校での対応

母子分離不安が強い子どもでは、登校しぶりや学校拒否がみられることがあります。

学校に行こうとすると腹痛や頭痛が出る、玄関や校門で動けなくなる、教室に入れないといった様子は、子どもなりの強い不安のサインです。

学校に伝えたい情報

家庭だけで抱え込まず、担任、養護教諭、スクールカウンセラーなどと連携することが重要です。

学校には、次のような点を具体的に共有すると支援につながりやすくなります。

学校に伝えたいこと 具体例
朝の症状 腹痛、頭痛、泣き出す、動けない
苦手な場面 教室に入る直前、母親と別れる瞬間、休み時間
落ち着きやすい方法 保健室で休む、先生が迎える、予定表を見せる
発達特性の有無 見通しがないと不安が強い、刺激に敏感、切り替えが苦手

「配慮してほしい」と一方的に伝えるよりも、「家庭でもこう対応しているので、学校でも一緒に考えたい」という姿勢で共有すると連携しやすくなります。

保健室登校や別室対応も選択肢になる

不安が強い子どもに対して、最初から教室復帰だけを目標にすると、負担が大きくなりすぎることがあります。

そのような場合には、保健室や相談室、別室など、安心して過ごせる場所を一時的に確保することも有効です。

まずは「学校に来られた」という成功体験を重ねることが、次の一歩につながります。

母子登校は「橋渡し」として考える

母子登校をしていると、「このまま依存が強くなるのでは」と心配になる保護者も少なくありません。

しかし、不安が非常に強い時期には、付き添いが子どもにとって学校とつながるための橋渡しになることがあります。

大切なのは、付き添いを無期限に続けるのではなく、校門まで、昇降口まで、教室前までというように、少しずつ減らす見通しを共有することです。

受診を考えたい目安

次のような場合には、児童精神科、精神科、心療内科、小児科などへの相談を検討するとよいでしょう。

  • 不安や登校しぶりが4週間以上続いている
  • 腹痛や頭痛などの身体症状が繰り返し出ている
  • 学校生活や友人関係に明らかな支障がある
  • 家の中でも親から離れられず生活範囲が狭くなっている
  • ASDやADHDなど発達特性も気になる
  • 保護者だけでは対応が難しく、親子ともに疲弊している

分離不安症は、適切な評価と支援によって改善が期待できる状態です。

治療としては、心理教育、不安への対処を学ぶ認知行動療法(考え方や行動のパターンを整える治療)などが基本となり、症状が重い場合には薬物療法が検討されることもあります。

まとめ

小学生の母子分離不安は、単なる甘えではなく、子どもが強い不安を抱えているサインである場合があります。

分離不安症と発達障害は別のものですが、ASDやADHDの特性によって不安が強まりやすいことはあります。

対応では、無理に引き離すことよりも、不安を受け止め、見通しを示し、少しずつ成功体験を積み重ねることが大切です。

登校しぶりがみられる場合は学校と連携し、必要に応じて医療機関に相談することで、子どもに合った支え方が見つけやすくなります。

参考



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監修医師

草薙威史 先生

草薙威史 先生

経歴

  • 山形大学医学部 卒
  • 二本松会山形病院
  • 飯沼病院
  • 星ヶ丘病院
  • さとうメンタルクリニック
  • 新宿溝口クリニック
  • ナチュラルアートクリニック
  • 新宿廣瀬OPクリニック
  • ひめのともみクリニック
  • 三田こころの健康クリニック新宿
  • 医療法人社団TLC医療会 ブレインケアクリニック 理事長
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