発達障害が疑われる?気になる赤ちゃんのハイハイの仕方4つの特徴
赤ちゃんのハイハイには、四つん這いで前進する一般的な形以外にも、さまざまなバリエーションがあります。
中には、シャフリング(いざりばい)や高ばいなど、発達障害との関連が指摘されることがある動きも存在します。
しかし、これらの独特なハイハイをする赤ちゃんが、必ずしも発達障害であるとは限りません。
筋力の発達具合や赤ちゃんの好み、癖によって、一時的に変わった動きを見せることはよくあります。
ここでは、発達障害の可能性が気になるときに見られることがある4つのハイハイの特徴を紹介しますが、これだけで判断できないことは理解しておきましょう。
シャフリング(いざりばい):座ったままお尻で移動する
シャフリングとは、お座りの姿勢のまま、お尻を床につけて左右に動かしながら移動する方法で、「いざりばい」とも呼ばれます。
手を使わず足の力だけで進んだり、片手で床を押しながら進んだりと、そのスタイルは赤ちゃんによって様々です。
この移動方法は、ハイハイをしない赤ちゃんに見られることがあります。
シャフリングをする赤ちゃんの中に、自閉スペクトラム症(ASD)の特性が見られることがあるという報告もありますが、すべての赤ちゃんに当てはまるわけではありません。
シャフリングは赤ちゃんなりの効率的な移動手段の一つであり、単なる個性である場合も多いです。
高ばい(クマ歩き):ひざを床につけずに四つん這いで進む
高ばいは、ひざを床につけず、手のひらと足の裏だけを床につけて腰を高く持ち上げて進むハイハイです。
「クマ歩き」とも呼ばれ、一般的なハイハイと比べてダイナミックな動きに見えます。
この動きは、腕や足の筋力がしっかりついてきた赤ちゃんに見られることが多く、発達の一過程として捉えられることがほとんどです。
しかし、中には床にひざがつく感触を嫌がる「感覚過敏」が背景にあり、結果的に高ばいのスタイルを選択しているケースも考えられます。
ハイハイしない期間が長く、高ばいを始めた場合は、床の素材を変えてみるなど、赤ちゃんの様子を観察してみるのも一つの方法です。
片足ハイハイ:片足だけを立てたり引きずったりする
片足ハイハイは、片方の足はひざをついて曲げ、もう片方の足はひざを立てたり、後ろに引きずったりしながら進む、左右非対称な動きのハイハイです。
この動きは、まるで走り出す前のような体勢に見えることもあります。
多くの場合、これは赤ちゃんの単なる癖や、左右の筋力バランスの違いによる一時的なもので、成長とともに自然な四つん這いのハイハイに移行していきます。
ただし、極端に左右の動きが異なっていたり、体の緊張が強すぎたり弱すぎたりするなど、他に気になる様子がある場合は注意が必要です。
まれに脳性まひなど、体の動きに関する疾患のサインである可能性もゼロではないため、心配が続く場合は専門家に相談しましょう。
腹ばい移動(ズリバイ)から進まない
ズリバイは、お腹を床につけたまま、腕や足の力でほふく前進のように進む動きで、一般的にハイハイの前段階とされています。
多くの赤ちゃんが経験する動きですが、このズリバイの期間が長く、なかなか四つん這いのハイハイに移行しないと心配になるかもしれません。
ズリバイからハイハイへ移行しない主な原因としては、体を支えるための腕や背中、体幹の筋力がまだ十分に発達していないことが考えられます。
ズリバイでも十分に移動できるため、赤ちゃん自身がハイハイの必要性を感じていない場合もあります。
焦らずに見守りつつ、遊びの中でお腹を持ち上げる動きを促してみるのも良いでしょう。
赤ちゃんがハイハイをしない・遅いのは発達障害が原因?

「うちの子はなかなかハイハイをしない」「他の子より時期が遅い気がする」といった悩みは、多くの保護者が経験します。
ハイハイをしない、あるいは開始時期が遅いことが、脳の発達や発達障害と関係があるのではないかと不安になるかもしれません。
しかし、ハイハイの発達スピードには大きな個人差があり、必ずしも発達障害が原因とは限りません。
赤ちゃんの気質や体格、生活環境など、さまざまな要因が影響します。
ここでは、ハイハイをしない・遅い場合に考えられる理由について詳しく見ていきます。
ハイハイをせずに立つのは「飛び級」で問題ない?
ハイハイの段階を飛ばして、お座りから直接つかまり立ちや伝い歩きを始める赤ちゃんもいます。
これは「ハイハイの飛び級」などと呼ばれることがありますが、発達の順序が少し違うだけで、医学的に大きな問題はないとされています。
ハイハイをしないことで、発達に深刻な影響があるという明確な科学的根拠はありません。
ただし、ハイハイは全身の筋肉を使い、体幹やバランス感覚、手足の協調運動を養うという重要な役割も担っています。
もしハイハイをせずに歩き始めた場合でも、その後に四つん這いになって遊ぶ「追いかけっこ」や「トンネルくぐり」などを通じて、同様の動きを経験させてあげると良いでしょう。
時期が遅いのはなぜ?10ヶ月を過ぎてもハイハイしない場合
ハイハイを始める平均的な時期は生後8ヶ月頃とされていますが、これはあくまで目安です。
10ヶ月を過ぎてもハイハイを始めない赤ちゃんも決して珍しくありません。
理由としては、赤ちゃんの性格が大きく関係していることがあります。
例えば、慎重な性格の赤ちゃんは、安全を確認してからでないと新しい動きに挑戦しない傾向があります。
また、おっとりとした性格で、周りのものへの好奇心よりも抱っこされている安心感を好む幼児もいます。
体格が大きめで体が重い赤ちゃんも、動き出すまでに時間がかかることがあります。
他の発達(寝返り、お座りなど)が順調であれば、多くは個性として見守ってよい範囲です。
発達障害以外に考えられるハイハイをしない3つの理由
赤ちゃんのハイハイが見られない場合、発達障害の可能性を考える前に、他の要因も考慮する必要があります。
赤ちゃんの身体的な発達状況や意欲、さらには生活している環境が、ハイハイの開始に大きく影響します。
例えば、5歳頃の運動能力の基礎を作る上でも、乳児期の多様な動きの経験は大切ですが、その一つのステップであるハイハイには、いくつかの条件が必要です。
ここでは、発達障害以外で考えられる主な3つの理由について解説します。
これらの要因を理解し、対応することで、赤ちゃんのハイハイが促されるかもしれません。
うつ伏せが苦手で体を支える筋力が不足している
ハイハイをするためには、うつ伏せの状態で両腕で上半身をしっかりと支える筋力が必要です。
しかし、生まれたときからうつ伏せの姿勢が苦手だったり、練習する機会が少なかったりすると、首や腕、背中の筋肉が十分に発達せず、ハイハイの姿勢をとることが難しくなります。
うつ伏せにするとすぐに泣いてしまう赤ちゃんは、その姿勢自体に不快感を持っているのかもしれません。
このような場合、無理強いはせず、機嫌の良い時に短い時間からうつ伏せの練習を始め、徐々に慣らしていくことが大切です。
保護者が赤ちゃんの目の前で同じようにうつ伏せになり、目線を合わせて遊んであげるのも効果的です。
赤ちゃんの移動意欲がまだ高まっていない
赤ちゃんがハイハイをしない理由の一つに、単純に「動く必要性を感じていない」という心理的な側面が挙げられます。
例えば、常に保護者がそばにいて、欲しいものをすぐに手渡してくれる環境では、赤ちゃんが自ら動いて何かを取りに行こうという意欲が湧きにくいかもしれません。
また、一人遊びが好きでおとなしい性格の赤ちゃんや、寝返りやお座りの姿勢で満足している赤ちゃんも、積極的に移動しようとしないことがあります。
赤ちゃんの探究心や好奇心を刺激するために、少し離れた場所に音の出るおもちゃや鏡など、興味を引くものを置いてみる工夫も有効です。
床の素材や広さがハイハイに適していない
赤ちゃんを取り巻く物理的な環境も、ハイハイの開始に影響を与える重要な要素です。
例えば、つるつると滑りやすいフローリングの床では、赤ちゃんが手足にうまく力を入れることができず、ハイハイの練習がしにくい場合があります。
逆に、毛足の長いカーペットは、手足の指が引っかかり、動きを妨げることがあります。
また、家具やおもちゃが多く置かれていて、赤ちゃんが安全に動き回れるスペースが十分に確保されていないと、移動を試みる意欲が削がれてしまいます。
赤ちゃんが快適にハイハイできるよう、滑りにくいジョイントマットを敷いたり、部屋を整理して十分な広さを確保したりするなどの環境整備が大切です。
ハイハイの仕方だけで判断するのはNG!発達障害の早期サインも確認しよう

これまで見てきたように、独特なハイハイの仕方や、ハイハイをしない・遅いといったことだけで発達障害を判断することはできません。
赤ちゃんの成長には個人差が大きく、それらは個性の一環であることがほとんどです。
しかし、もし発達障害の可能性が気になる場合は、ハイハイの様子だけでなく、コミュニケーションや行動、身体的な特徴など、他の側面からも赤ちゃんの様子を総合的に観察することが重要になります。
ここでは、発達障害の早期サインとして挙げられることのある特徴をいくつか紹介します。
目が合いにくい・視線を合わせようとしない
自閉スペクトラム症の特性の一つとして、他者との視線の合いにくさが挙げられることがあります。
例えば、抱っこや授乳をしているときに、ほとんど目が合わない、あるいは視線を合わせようとしてもすぐに逸らしてしまう、といった様子が頻繁に見られる場合です。
赤ちゃんは通常、人の顔、特に目に興味を示すことが多いとされています。
もちろん、赤ちゃんの気分や、周りに気になるものがあるときなどは視線が合わないこともあります。
一時的なものではなく、様々な場面で一貫して目が合いにくいと感じる場合は、少し注意して様子を見ると良いでしょう。
名前を呼んでも振り向くことが少ない
生後6ヶ月を過ぎると、赤ちゃんは自分の名前を認識し始め、呼ばれると声のする方を振り向くようになると言われています。
聴力に問題がないにもかかわらず、様々な状況で名前を呼んでも振り向かなかったり、反応が乏しかったりすることが続く場合、これも発達障害のサインの一つとして考えられることがあります。
ただし、何かに夢中になって遊んでいるときなど、周りの音が耳に入りにくい状況は大人でもあります。
一度や二度の反応のなさで判断するのではなく、静かな環境で、優しい声で呼びかけるなど、状況を変えて試してみることが大切です。
特定のおもちゃや物に強いこだわりを見せる
特定のものに対する強いこだわりも、自閉スペクトラム症の特性として知られています。
例えば、たくさんおもちゃがあるのに、いつも同じ一つのミニカーでしか遊ばない、回るもの(扇風機やタイヤなど)をじっと見続ける、といった行動です。
また、おもちゃを本来の遊び方ではなく、ひたすら並べたり、積み上げたりすることに熱中する場合もあります。
もちろん、赤ちゃんにはそれぞれ好みや一時的なブームがあるため、こだわりがあること自体が問題なわけではありません。
そのこだわりが極端に強く、他の遊びに全く興味を示さないといった場合は、注意深く見守る必要があります。
手足がふにゃふにゃしている(筋緊張が低い)
筋緊張が低い、いわゆる「低緊張」の状態も、発達の遅れや障害の背景にあることがあります。
抱っこしたときに体がふにゃふにゃ、ぐにゃっとして安定しない感じがしたり、お座りの姿勢を保てずすぐに倒れてしまったりするのが特徴です。
筋緊張が低いと、体を支える力が弱いため、ハイハイの姿勢を維持することが難しく、ズリバイの期間が長くなる傾向があります。
また、動き全体がゆっくりしていたり、ぎこちなさが目立ったりすることもあります。
気になる場合は、ハイハイの仕方だけでなく、全身の筋肉の張り具合にも注意を向けてみましょう。
床に手をつくのを嫌がる(感覚過敏)
発達障害のある子どもには、特定の感覚が過敏な「感覚過敏」という特性が見られることがあります。
ハイハイに関連するものでは、手のひらが床に触れる感触を極端に嫌がる「触覚過敏」が挙げられます。
フローリングの冷たさや、カーペットのチクチクした感触などが不快で、どうしても手をつけたくないのかもしれません。
このような感覚過敏が原因で、一般的な四つん這いのハイハイができず、高ばいやシャフリングといった独特な移動方法をとることがあります。
もし赤ちゃんが床に手をつくのを嫌がる素振りを見せるなら、様々な素材のマットを試してみるなど、赤ちゃんが快適に感じる環境を探してあげることが大切です。
赤ちゃんのハイハイで心配になったときの対処法と相談窓口

赤ちゃんのハイハイの仕方や時期について不安を感じたとき、一人で抱え込まずに行動することが大切です。
まずは家庭内でできることから始め、それでも心配が解消されない場合は、専門家や専門機関に相談するというステップを踏むとよいでしょう。
身近なところでは、日々の遊び方を工夫したり、ハイハイしやすい環境を整えたりすることが挙げられます。
そして、最も気軽に専門家の意見を聞ける場として、定期的な乳幼児健診があります。
ここでは、具体的な対処法と相談窓口について解説します。
家庭でできる!ハイハイを促す遊びと環境の整え方
まず、赤ちゃんが安全にハイハイできる環境を整えましょう。
床の上の危険なものや、赤ちゃんが誤飲しそうな小さなものを片付け、家具の角にはコーナーガードを取り付けます。
フローリングの場合は、滑りにくく、衝撃を吸収するジョイントマットなどを敷くと良いでしょう。
その上で、遊びを通してハイハイを促します。
保護者が四つん這いになってお手本を見せたり、少し離れた場所からお気に入りのおもちゃや声かけで「こっちだよ」と誘ったりするのが効果的です。
段ボールで作ったトンネルをくぐらせるなど、遊びの中に自然と四つん這いの動きを取り入れるのもおすすめです。
まずは乳幼児健診やかかりつけ医で相談してみる
ハイハイに関する心配事は、まず最も身近な専門家である、かかりつけの小児科医や、市区町村が実施する乳幼児健診で相談するのが第一歩です。
健診では、医師や保健師が赤ちゃんの全体的な発達状況をチェックしてくれるため、客観的なアドバイスをもらうことができます。
相談する際は、「いつから、どのようなハイハイの仕方が気になるのか」「1歳でもハイハイしない」「ハイハイ以外に気になる行動はあるか」などを具体的に伝えられるようにしておきましょう。
スマートフォンの動画で実際の様子を撮影しておくと、口頭で説明するよりも正確に伝わりやすいためおすすめです。
専門機関はどこ?児童発達支援センターなどを頼ろう
乳幼児健診やかかりつけ医に相談した結果、より専門的な視点からのフォローが必要だと判断された場合、専門機関を紹介されることがあります。
代表的な相談先としては、地域の保健センター、児童発達支援センター、発達障害者支援センターなどがあります。
これらの機関では、臨床心理士や作業療法士、理学療法士といった発達の専門家が、より詳しい発達検査を行ったり、個々の状況に応じたアドバイスや支援(療育)を提供したりしてくれます。
自閉症なのかと不安な気持ちを専門家と共有し、適切なサポートを受けることで、保護者の負担も軽減されます。
赤ちゃんのハイハイに関するよくある質問

ここでは、赤ちゃんのハイハイに関して、多くの保護者が抱きがちな疑問についてお答えします。
ハイハイの仕方が将来の運動能力にどう影響するのか、ハイハイを全くしなかった場合のリスク、ズリバイからなかなか移行しないときの促し方など、具体的な質問を取り上げ、簡潔に解説します。
子どもの発達は個人差が大きいことを前提に、一つの目安として参考にしてください。
ハイハイの仕方が個性的だと、将来の運動神経に影響しますか?
個性的なハイハイが、将来の運動神経に直接影響するという医学的根拠はありません。
ハイハイは全身運動であり、体幹やバランス感覚を養う上で効果的ですが、その後の幼児期の遊びや運動経験によっても、これらの能力は十分に育まれます。
大切なのは、ハイハイの「形」よりも、赤ちゃん自身が体を動かす楽しさを感じることです。
ハイハイを全くせずに、いきなり歩き始めても問題ありませんか?
医学的に大きな問題はありません。
ハイハイをしない「飛び級」の赤ちゃんは一定数おり、それ自体が発達の異常を示すものではありません。
ただ、ハイハイで養われる体幹や手足の協調性は、転んだ時に手を前に出すなど、体を守る動きにも繋がります。
歩き始めた後でも、遊びの中に四つん這いの動きを取り入れると良いでしょう。
ズリバイが長いのですが、ハイハイへの移行を促す方法はありますか?
遊びを通してお腹を床から持ち上げる動きを促すのが効果的です。
例えば、保護者の膝の上に乗せてバランスをとる遊びや、クッションなどの少し段差のある場所を乗り越えさせるような遊びが、体幹を鍛え、お腹を上げる感覚を養います。
お気に入りのおもちゃを少し高い位置に置いて、手を伸ばさせるのも良い方法です。
まとめ

赤ちゃんのハイハイの仕方や時期は、個性や筋力の発達、環境など様々な要因によって異なり、独特な動きが必ずしも発達障害のサインとなるわけではありません。
シャフリングや高ばい、ハイハイをしないといった様子が見られても、多くは成長の一過程です。
しかし、ハイハイの様子に加えて、視線が合わない、呼びかけへの反応が薄いなど、他の発達面でも気になるサインが複数見られる場合は、一人で悩まず専門家に相談することが重要です。
まずは乳幼児健診やかかりつけ医といった身近な窓口を利用し、客観的なアドバイスを求めましょう。



