HSPは、Highly Sensitive Personの略です。非常に繊細な人たちのことで、外部からの刺激に敏感です。この気質は病気ではなく、生まれ育った環境や性格によるものです。HSPは共感能力が高く、人に好かれやすい特性があります。相手の表情や言葉遣いから相手の気持ちを察知する能力も高く、人間関係の構築が容易です。また、誠実性が高く、計画的に仕事をこなす能力があるため、職場での活躍が期待できます。
生まれながらの繊細さんHSPの特徴気質「DOES」とは
提唱者であるエレイン・N・アーロン博士によれば、HSPには4つの気質があり、4つをまとめて「DOES(ダズ)」と呼ばれています。
Depth of processing(深く考え込みやすい)
ひとつの物事について、非常に深く考える傾向があり、過去の経験と関連づけたり比較したりして深いレベルで情報処理することができます。一度考え始めると他のことが手につかなくなったり、あれこれとネガティブな考えが広がったり、実際の状況よりも深刻に捉えてしまい不安が強まったりすることがあります。
Overstimulation(感覚過敏)
小さな変化にもすぐ気づくことができる一方で、視覚・聴覚・嗅覚など外部からの刺激に対して感覚が過敏で、日常生活で疲れやすいです。たとえば、蛍光灯や情報端末などからの光が強い場所や満員電車、騒がしい職場やバイクの音などで強いストレスを感じたり、その場を立ち去りたくなったりすることがあります。
Empathy and emotional responsiveness(感情的で感情移入しやすい)
相手の気持ちに対して共感力が高く、感情移入しやすいです。内面が豊かで芸術に深く感動する気質であり、ときには周囲の人の感情に影響を受けやすいことがあります。相手と自分の境界線が曖昧になりやすく、相手に依存しすぎて、まるで自分のことのように感じてしまいます。例えば、凄惨なニュースに深く傷ついてしまったりと、ストレスを感じるといったことがあります。
Sensitivity to subtleties(些細なことに影響されやすい)
五感が鋭く、周囲の変化や言動に敏感で、小さなことにもよく気がつきます。例えば、足音や話し声などの些細な変化といった相手が何も言っていないのに感情を読み取れ、感情の変化に気付く事があります。
これらのさまざまな特性によって、HSPの人々はごく普通の日常生活や人間関係で独特の体験をしています。
HSPのよくある苦悩と対処法
人間関係で疲れがち
相手の顔色を伺ってしゃべるクセが付いてしまっている人が多く、特定の人と長時間一緒にいたり、大人数でいるとすぐ疲れてしまいます。他人の機嫌や感情を自分の責任として捉えてしまう傾向にあり、些細な変化にも強く反応してしまう特性が原因です。
ひとりになる時間を確保するなど、気を抜く時間を作りましょう。
ペースを乱されるのが苦手
HSPは、急な生活の環境変化やマルチタスクが苦手で、大きな音や強い光、他人の気分に振り回されることなどに弱く、これがストレスの原因となることがあります。
自分のペースを整えるのが苦手なので、相手のペースに巻き込まれがちです。
ペースが乱れると、頭が追いつかなかったり、自分の気持ちを無視した行動を取ってしまいます。大切なのは、周りに流されず、自分のペースを守る事です。
もし、ペースが崩れても、自分で自分を立て直す対処法を見つけることが大切です。
自己肯定感が低い
他者の微妙な感情の変化を読み取り、それが自分に関連していると思い込んでしまうと、それが自己肯定感の低さにつながることもあります。責任感が強いので、不必要にストレスを感じることがあります。
自分自身をありのまま受け入れ、他人の評価より自分で自分を評価してあげましょう。
HSPは発達障害と関係ある?
HSPと発達障害は、自己肯定感が低いこと、生きづらさやストレスを感じやすいこと、感覚過敏など、一見似た特性を持つことがあるものの、根本的に異なる概念です。
HSPは、生まれつきの性質であり、感情や相手の感情に対して敏感でありますが、個性や特性のひとつとされており、医学的な診断や薬物治療は必要ありません。
一方で、発達障害は、注意力のコントロールや社会的コミュニケーションに苦手意識を持ち、薬物療法や行動療法など、適切な治療を行うために、医療機関への受診を推奨しています。
HSC(Highly Sensitive Child)って知ってる?
HSCは、敏感で繊細、感受性が高いなどの気質を生まれ持った、子供の特性のことを言い、これは心理学の考えです。
常に慎重で心配性、完璧主義で正義感が強いなど、豊かな想像力で独創的なアイデアを持つといったクリエイティブ能力が備わった精神的特性もあります。
これらの特性のせいで、日常生活や友だちや先生との人間関係、家族との関係で感じるストレスが大きく、蓄積された疲れはどんどん溜まっていってしまい回復が間に合わなくなり、不登校になりやすい原因となっています。
特に、人間関係、集団の中でのプレッシャー、自身の感情への刺激、性的興味、休み時間の遊び、環境の変化への柔軟な対応が困難で、HSCの子供が学校生活と家庭環境において多大なストレスを感じる原因となっています。
さらに、疲れやすさやストレスの蓄積によって、うつ病などの精神疾患を発症しやすい傾向があります。これはHSCの特性が、成人になっても継続していくことを示しています。
自身のHSPの特性に悩んだら
HSPは病気ではありません。
ですが、自分の気質や性格で悩みストレスを感じたら、専門のカウンセリングに頼るのもいいと思います。
カウンセリングはHSPにとって効果的な対処法のひとつ
自分を誇りに思うこと・自己肯定感を上げること・ありのままの自分を受け入れることで、ストレスや不安などを払拭するインナーマネージメントの方法を学ぶ機会を作ります。
今、感じていることや悩んでいることなど、未来の自分はどうでありたいかなど、自分自身の感覚や感情をノートに書き出すなど、静観・客観視してみましょう。
認知行動療法やマインドフルネス瞑想などのアプローチが用いられ、HSPが持つ特性に対応した対処法がアドバイスされることが多いです。
カウンセリングによって、HSPの人が日常生活で感じるストレスや不安を減らし、問題を解決し、改善することが期待できます。
HSPの特性を理解し、適切なアプローチを行うことで、カウンセリングはHSPの人々にとって大きな支えとなります (Heartlife Counseling)。
これにより、自分の自信や自己肯定感やストレスマネジメント能力が向上し、自分で健康を管理するセルフメディケーションを手に入れ、健やかな生き方が期待されます。
まとめ
HSPと発達障害は、似ているようで根本的に異なるため、自身の特性や困りごとについて専門家の助言を求めることが重要です。
HSPの世界の知見を広げ、周りの人々の理解と適切な自己対処法を身につけることが、HSPの人々が生きやすくなる世界への第一歩となります。
よくある質問
- Q.HSPはどのような特性を持っているのですか?
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HSPは非常に繊細で外部からの刺激に敏感な特性を持っています。例えば、視覚や聴覚、嗅覚などの感覚が鋭く、日常生活で疲れやすい傾向があります。また、相手の感情に共感しやすく、感情的な影響を受けやすいです。
- Q.HSPの人が日常生活で感じやすい苦悩は何ですか?
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HSPの人は人間関係で疲れやすく、相手の顔色を伺うことが多いため、特定の人と長時間一緒にいると疲労が蓄積しやすいです。また、急な環境の変化やマルチタスクが苦手で、大きな音や強い光にストレスを感じやすいです。
- Q.HSPと発達障害はどう異なるのですか?
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HSPは生まれつきの性質であり、感情や相手の感情に敏感であることが特徴ですが、医学的な診断や治療は必要ありません。一方で、発達障害は注意力や社会的コミュニケーションに困難を伴うものであり、適切な治療や医療機関への受診が推奨されます。